これまでの記事では、基礎体温を計測している方向けの高温期、低温期ごとの過ごし方をご紹介してきましたが、今回は卵胞期の過ごし方について注目していきます。卵胞期は女性ホルモン(プロゲステロン)が増え、女性にとって最も過ごしやすい時期と言われています。

 しかし、このエストロゲンも加齢とともに少なくなってしまうホルモンの一つです。いつまでも自分らしくいるために今回はホルモンと、それをサポートする食材についてご紹介していきます。

 これまでにご紹介してきた記事はこちらがおすすめです。

基礎体温でセルフケア!低温期・高温期の基本をまとめました

 

女性ホルモンとは

 女性ホルモンは、卵胞ホルモンの「エストロゲン」と、黄体ホルモンの「プロゲステロン」の2種類からなります。このホルモンバランスによって、皮脂の分泌や再生機能低下といった美容トラブルの原因、痩せにくさ、ストレス、生殖機能低下など様々な悩みの種を引き起こすと言われています。

 例えば、妊活を目的としている方が月経周期で見た時に、こんなにも必要な栄養素が変わってくるのです。

▶プロゲステロン 
 黄体ホルモンとも呼ばれ、赤ちゃんを迎えるために子宮内膜をやわらかくして、子宮が妊娠しやすい環境を整える働きをします。通常は約2週間で減少していき、子宮内膜が剥がれ落ちて、生理がおきます。乳腺の発達や、からだの体温を上げる働きがあります。

▶エストロゲン
 エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれる、女性らしい身体をつくるのに欠かせないホルモンです。
肌の調子や髪の健康、女性らしい身体のラインを作ります。卵子の排卵を促すのには欠かせません。

 

エストロゲンが増える「卵胞期」の過ごし方

 卵胞期とは、排卵に向かって身体がエストロゲンの分泌量を増やし、排卵が起きるまでの期間をさします。

 また、生理周期に悩む女性にとっては最も調子が良いと言われる期間です。排卵に向けてエストロゲンの分泌量が多くなると、肌や髪などのコンディションもよくなるとも言われています。身体やメンタル面でも落ち着いているため、ダイエットをするのにも最適な時期です。

 卵胞期は身体も心もリフレッシュしやい時期です。自分のやりたいことに制約をつけず、思いっきり楽しむ予定を組みましょう!

 

私の卵胞期はいつ?

 自分にとっての卵胞期がいつからなのか分からない場合は、基礎体温をチェックすることから始めましょう! 女性の基礎体温は月経を中心にして、高温期と低温期を繰り返しています。

 卵胞期は基本的に低温期と言われています。基礎体温は普通の体温測定とは違い、毎朝なるべく同じ時間に、起きてから身体を動かさない状態で体温を測る必要があります。

 詳しい基礎体温の測り方についてはこちらの記事をご覧ください。

基礎体温でセルフケア!低温期・高温期の基本をまとめました

 

卵胞期におすすめの運動

 卵胞期は生理期間や黄体期とちがい、自分の運動量に見合った運動を行うことがおすすめです。

▶有酸素運動「ウォーキング・ジョギング・ランニング」
 もともと走ることが好きな方はジョギングやランニングなどの有酸素運動がおすすめです。有酸素運動では筋肉で使うエネルギーを作るのに糖質や脂質、酸素が欠かせません。

 ダイエットを意識している人は有酸素運動を30分継続することがおすすめです。筋肉では脂肪をエネルギーとして使い始めれるのは20分を過ぎたあたりからと言われています。

 脂肪を燃やすためにも、自分の体力に合わせて、ウォーキングなどでも早歩きで行うことを意識して、1日30分まずは継続してみましょう! 編集部が実践して、有酸素運動に効果を感じられた方法については、こちらの記事でまとめています。

2週間「本気で有酸素運動」した結果!得られた効果とデメリットをまとめました!

 

卵胞期におすすめの栄養素

 卵胞期は卵巣にホルモンが働きかけることで卵胞が発育しやすくなり、エストロゲンの分泌量が増えます。その他にも、受精卵を受け止めるために子宮内膜にも厚みが出てきます。

 そんな卵胞期には身体をリフレッシュさせるためのビタミンを多く摂ることがおすすめです。ここからはおすすめのビタミンと食材をそれぞれ紹介していきます。

▶葉酸
 葉酸は水溶性のビタミンに分類される、身体に貯めておくことが出来ないビタミンです。名前にはビタミンBとは入っていませんが、ビタミンB群の仲間でもあります。葉酸はビタミンB12や鉄同じように赤血球の材料ともなります。

 調理する際は、熱で成分が変異しやすく、また水溶性なため水や熱湯で茹でるとビタミンが水分に流れでやすい面を持ちます。

 調理する際は短時間で調理が済む、電子レンジや蒸し調理などだと、ビタミンの損失が少ないとされています。また、短時間で調理するためには冷凍野菜もおすすめですよ。冷凍野菜に栄養はあるの? と気になる方にはこちらの記事がおすすめです。

冷凍野菜に栄養はあるのか?栄養士が生野菜と徹底比較!

 

▶葉酸が豊富な野菜
 葉酸が豊富な食材は以下ですが、他にもブロッコリーやほうれん草、スイートコーンにアスパラガスなど食卓に上がりやすい食材も葉酸を豊富に含んでいます。野菜以外では、うなぎやウニ、ホタテなどにも多くふくまれていますよ。

 食材名 葉酸含有量(㎍) 1食分の量(g)
モロヘイヤ 250㎍ 100g
菜の花(和種) 190㎍ 100g
芽キャベツ 220㎍ 100g
枝豆 130㎍ 50g
いちご 90㎍ 100g

エストロゲンを増やすには?

 女性の黄金タイムを作り出してくれる卵胞期ですが、このときに分泌されやすくなるエストロゲンは一生にスプーン1杯分ほどしか分泌されないとも言われています。また、この分泌量は自然と増やすことはできないとも言われています。

 女性ホルモンの効果に期待したくても、量は増やせない。そんな時は豆乳などに含まれるイソフラボンの摂取がおすすめです。

 

女性ホルモンとイソフラボンの関係

 イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをすると言われています。年を重ねるごとに減っていく女性ホルモンの代わりに、若々しさを保つのをサポートすることが期待されるポリフェノールの一種です。

 卵胞期を心地よく過ごすのに、内側からのサポートはイソフラボンを多く含む大豆製品がおすすめです。ここからはイソフラボンの機能と具体的な食事での取り入れ方をご紹介します。

▶イソフラボンとは
 イソフラボンとはポリフェノールの一種で、年々減っていく女性ホルモンをサポートしてくれると言われています。
 閉経後などに女性ホルモンが減ると、顔がほてりやすくなったり、肩こりや頭痛などの身体的な症状の他にも、イライラしやすくなるなどの精神面での影響も出やすくなると言われています。

 イソフラボンは女性ホルモンが減少した部分を補うことが期待できるため、女性には積極的に摂ってほしい栄養素です。

 

▶イソフラボンが豊富な食材は?
 イソフラボンは主に大豆製品に多く含まれています。豆腐や納豆以外にも、がんもどきや油揚げ、きな粉などにも多く含まれています。まずは、下記のように自分の生活習慣に合わせて、イソフラボンを摂れるように意識してみてはいかがですか?

▶牛乳を豆乳に置き換える
▶1日1食納豆を取り入れる
▶主食には豆腐ハンバーグ

 1日に最適と言われる、詳しい摂取量については下のイラストをご覧ください。

大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A 内閣府 食品安全委員会

まとめ

 ホルモンバランスが乱れると、心や身体に影響が出やすい女性。卵胞期は女性にとってもっとも安定した期間と紹介しましたが、生活習慣の乱れや、疲れが溜まるとホルモンバランスは乱れやすくなります。

 卵胞期は妊活などの意識も高まる時期なので、基礎体温や生理前の症状などにも敏感になりがちです。繊細なホルモンバランスのためにも、まずは自分自身のホルモンバランスを知り、食事や運動でイキイキと過ごせるように自分自身をサポートしましょう。今月の卵胞期はホルモンバランスと寄り添ってみましょう。

 卵胞期、排卵期の次は黄体期が来ます。食欲が増加したり、もやもやしたりと精神的にも変化が多い時期です。そんな時期は体重も増えやすく、より悪循環に…!次の記事では黄体期にどうして太りやすいか、そんな悩みに寄り添う内容を紹介しています。

黄体期の過ごし方「生理前は太りやすい?熱っぽい?」おすすめの対処法をご紹介

監修:管理栄養士 岡部 遥

 参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(2020年7月2日) p236

水上尚典 「葉酸摂取のすすめ」北海道大学大学院医学研究科生生殖医学分野 日本補完代替医療学会誌 第6巻 第2号 53-57 2009,6, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/6/2/6_2_53/_pdf/-char/ja

文部科学省 「食品成分データベース」 https://fooddb.mext.go.jp/search.html (2020年 6月30日)

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