野菜は私たちの健康を維持するのに欠かせない食材です。その種類は様々で、緑黄色野菜に淡色野菜、根菜、葉物と種類は様々です。これらの多くの野菜はエネルギー量が低く、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な大切な食品です。
 なかでも緑黄色野菜はビタミンやカロテンなどの栄養価が高いことで有名ですが、実は調理方法によってその豊富な栄養価が失われてしまうことはご存知ですか? 今回は食卓に上がる頻度も高く、栄養価の高い野菜がた調理法の差で、どれだけ栄養価の失われ方に差があるのか管理栄養士が実践して検証していきます。

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栄養価の高い野菜とは?

 栄養価の高い野菜の定義としては「緑黄色野菜」があげられます。
 緑黄色野菜の定義は「100g当たりのカロテン含有量が600㎍(マイクログラム)以上」の野菜をさします。代表的なものはにんじん、かぼちゃ、唐辛子、ブロッコリーなどが挙げられます。

 よく色の濃いものは緑黄色野菜と思われていますが、キュウリやナスなどは見た目は色が濃いのですが、切ってみると、人参やかぼちゃと比べると色の濃さは明らかです。

 それぞれの野菜に良い点はありますが、野菜から効率的に栄養価を摂りたいという方のために、今回は子どもにも大人にも欠かせないビタミンC、葉酸、ビタミンAが豊富な野菜をまずは紹介していきます!

ビタミンC

 ビタミンCは体内で合成できないため、野菜や果物で摂取する必要があります。特徴としては赤、黄色、緑色がはっきりしている野菜に豊富に含まれています。ビタミンCの必要量はその人の身体の状態にもよりますが、日本人の食事摂取基準(2020年版)では1~11歳は40㎎~85㎎、12歳~は100mg日が1日の推奨量となっています。ストレスや喫煙などでもビタミンCは消費しやすいため、意識して摂ることもおすすめします。

ビタミンC含有量TOP5
赤パプリカ 162㎎ 95g / 1食分
黄パプリカ 143mg 95g / 1食分
菜の花 91mg 70g / 1食分
ブロッコリー 90mg 75g / 1食分
じゃがいも 47mg 135g / 1食分

 

【葉酸】 

 葉酸は女性では妊娠期、授乳期ではより摂取が必要になってきます。また、妊娠を意識する方には妊娠前からの摂取も必要です。日本人の食事摂取基準(2020年版)では1~11歳は90µg~190µg、12歳~は1240µg日が1日の推奨量となっています。葉酸と聞くと葉野菜に多いのでは?と思われがちですが、枝豆やブロッコリーも豊富に含んでいます。

葉酸含有量TOP5
菜の花 238µg 70g / 1食分
モロヘイヤ 175µg 95g / 1食分
枝豆 160µg 70g / 1食分
ブロッコリー  158µg 75g / 1食分
ほうれん草 147µg 135g / 1食分(※1)

 

【ビタミンA】

 ビタミンAは必要に応じてβ-カロテンから変換されます。目や皮膚、粘膜の健康を保ち、菌類から身体を守る栄養素と言われています。妊娠初期はビタミンAの過剰摂取は避けた方がよいのですが、プロビタミンAと呼ばれるβ-カロテンであれば摂取量は気にする必要はありません。

ビタミンA含有量TOP5
モロヘイヤ 588µg 70g / 1食分
にんじん 360µg 50g / 1食分
春菊 266µg 70g / 1食分
ほうれん草   245µg 70g / 1食分
小松菜 182µg 70g / 1食分


 また、ビタミンAは抗酸化作用があり、エイジングケアには必須の栄養素になっています。これからの季節、肌の乾燥も気になる方はこちらの記事もチェックしてみてくださいね。

エイジングケアに欠かせない「抗酸化作用」ビタミンの基本を紹介

 

子育て中なら摂りたい栄養素とお勧めの加熱方法とは?

 子育て中なら摂りたい栄養豊富な食材は、ほうれん草、ブロッコリー、じゃがいもが栄養素が豊富な野菜多く挙げられました。なかなか生野菜を食べきれない時もありますよね。保存性の高い冷凍食品も上手に使ってみてくださいね。

 生野菜と冷凍野菜の栄養素の比較はこちらから

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養価を損なわない調理方法とは?

 野菜は形や色、味もそれぞれ異なります。それと同じように栄養素も失われやすい調理法や吸収率がよくなる調理法はわずかに差があります。

 今回はにんじんじゃがいもほうれん草を「生野菜」「電子レンジ加熱」「茹でる」「蒸す」「炒める」「煮る」を行い、それぞれの味の変化や栄養素の損失、味の変化について紹介していきます。 同じ野菜でも調理方法の違いによる色や、食感の変化をチェックして料理の目的にあった調理法をチェックしていきましょう! それではまず、にんじんの検証から見てきましょう!

 

にんじんの調理検証

 にんじんの旬は9月~12月の秋冬にかけてとされています。体内でビタミンAとなるβ-カロテンやビタミンCを多く含んでおり、緑黄色野菜に分類される栄養価豊富な野菜です。加熱調理はもちろん、生でも食べられるため調理法もさまざまです。
 では早速、調理法別にどのような結果になったのか見ていきましょう!

電子レンジ

 にんじんは切った断面の面積が大きいほど栄養素が油や水に溶けだしやすいので、大きめに切ることを意識することが重要です。
 お皿に小さじ1の水を入れてラップをふわっとかけ、電子レンジで600W(ワット)
3分で加熱した後、確認してみると、水にうっすらとオレンジ色が移りました。

茹でる

 電子レンジ加熱と人参の切り方や大きさは同じですが、水から強火で茹でて10分、茹で汁は少しオレンジ色に色づきました。ゆで汁の多さを考えると電子レンジよりも色素が多く溶けだしているようにも見られます。

蒸す

 蒸し野菜は野菜3種を同時に調理します。フライパンに水60mlを注いでから、アルミホイルを敷き、蓋を閉め、中火で8分ほど蒸します。蒸した後の写真は「調理後」の写真のようになりました! 水はアルミホイルの下に入れたため、栄養素は水には溶けだしていない状態です。
 

炒める

 にんじんの中に存在するβ-カロテン(ビタミンA)は結晶の形で存在しており、油を使用して調理すると油に一部溶解し、体内での吸収も良くなると言われています。また、脂溶性ビタミンは水に溶けやすい水溶性ビタミンと比較すると調理による損失は茹でても比較的少ないと考えられます。

 

煮る

茹でた後のにんじんをかつおだしで煮ました。煮汁はかつおだしの色と溶け出た人参の色素が少々色づいているように感じました。茹でた人参に比べると人参の色味も若干透明度を増して、鮮やかになったように感じられます。

 

にんじん・検証結果

 それぞれ調理した人参を見比べてみると、電子レンジは水分が少し抜けたのか少し乾燥しているようにも見えます。茹でる、蒸し、煮るのにんじんは色も鮮やかに仕上がりました。お弁当の色味としても良さそうな色です。
 一方で、炒めた人参は油にも黄色い色素がうつっています。油と合わせて摂った方がカロテンは逃さず摂れそうです。β-カロテンは脂溶性ビタミンなので中華料理などで摂ることがおすすめと言えそうです。

 

調理法 総合評価 栄養素保持
生野菜

味:そのままでは食べにくいので、塩もみなどの味付けを
電子
レンジ


栄養素:短時間調理で栄養素が残りやすい
  味:ねっちょりした食感で、青臭さが残った
茹でる

栄養素:脂溶性なので、茹でても水に栄養が溶けにくい
  味:ほくほくした食感
蒸す

味:ほくほくした食感
炒める
栄養素:油と混ざり、栄養素が溶けだしやすい
  味:油と混ざってマイルドに
煮る
 栄養素:栄養素が溶けた煮汁まで飲めば◎
  味:かつおだしがよくしみておいしい

 

ほうれん草の調理検証

 ほうれん草はスーパーでも年中見かけますが、旬は12~2月と冬の野菜です。栄養素としてはミネラルやビタミンC、β-カロテン、葉酸も豊富に含まれており、まさに栄養価が高い野菜で、冷凍野菜としても人気のある食材です。

 一方で、シュウ酸というアクの成分が多く含まれていることでも知られています。似ていますが、小松菜には多くは含まれていません。シュウ酸は摂りすぎるとカルシウムなどを固め、体内で結石を作り出します。一方で、シュウ酸は水溶性なので、茹でることで70~80%を減らすことが可能です。

 ほうれん草は加熱時間が長いほど、栄養源であるクロロフィル(緑色)が減少します。ほうれん草は水煮溶けやすい水溶性ビタミンが豊富です。茹でる調理はお湯で加熱、その後の冷やすなど水に浸っている機会が多いため、短時間で調理することが重要です。調理法の違いででどのような変化が起こるか注目しながら見てみましょう!

電子レンジ

 ほうれん草を電子レンジで加熱する場合、葉と根を交互に重ねてラップできっちり包むとまんべんなく加熱することができます。600wで2分加熱し、ラップをとった後緑色をしっかり残すために水でしっかり冷やして粗熱をとり、絞ります。

茹でる

 茹でる時は「塩」を加えましょう。加熱時間は1分ほどが目安です。ほうれん草は食塩濃度が2%以上で変色を抑えることができます。茹で水に食塩を加えることは緑色保持ということよりもビタミンCなどの水溶性成分の溶けだしを抑える効果も期待されます。

 加熱時間がながいほど、栄養源のクロロフィル(緑色)が減少するため、緑色の野菜の加熱はできるだけ短時間にし、加熱が終了したらすぐに冷水で冷まして、高温状態が続かないようにしましょう。(※2)

 

蒸す

 加熱時間はじゃがいもとにんじんに合わせて8分ですが、きれいな緑色が残りました。
 味が気になるところですが、ほうれん草に含まれるシュウ酸は減っていないと考えられるため注意が必要なようです。

 

炒める

 油で1~2分ほどシャキッと食感が残るまで炒めました。油には緑色が溶けだしたような様子はありませんでしたが、蒸しと同じく、シュウ酸が残っていると考えらるため摂り過ぎには注意が必要です。
 炒めて使用する際は、ほうれん草ではなくチンゲン菜や小松菜を使うこともおすすめです。どうしてもほうれん草を使用する際は、一度茹でてから水気をとり、それから炒めると良さそうです。

 

煮る

 茹でた後にかつおだしで煮ました。かつおだしの黄色が少し濁り緑色に近い色に感じられます。調理方法の中では煮ることで最も栄養成分が失われやすいと言われています。
 一方で、ほうれん草の場合、栄養素が煮汁に溶けだしていますが、同じくアクの1つであるシュウ酸も溶け出ているため、捨てず煮汁を飲むのは控えることをおすすめします。
 また、強火で加熱すると栄養素はより変質してしまい、少なくなってしまうため、長時間煮すぎないように注意することも必要です。

 

ほうれん草・検証結果

 ほうれん草は調理法によってはアクが残り、えぐみを感じることあります。おいしく食べるにはあくなども摂れる「茹でる」「煮る」がおすすめです!

 一方で、シュウ酸を多く含んでいるため、電子レンジ、蒸し、炒めでは苦みやえぐみを強く感じました。加熱や水につけた際に水溶性ビタミンが溶け出てしまい勿体ないと感じるかもしれませんが、煮汁は飲まずに、捨てることがおすすめです。煮汁を活用したい場合は塩水で茹でてから、水気をきり、煮汁を変えることでシュウ酸を減らし煮汁を使用することができます。長時間加熱すると色も悪くなるため、なるべく短時間で済むように心がけましょう。

 

調理法 総合評価 栄養素保持
生野菜
味:そのままでは食べにくいので、加熱がおすすめ
電子
レンジ
栄養素:短時間調理で栄養素が残りやすい
  味:△えぐみを感じた。苦い
茹でる 〇ほくほくした食感
栄養素:茹で水、冷水で冷やす時に栄養が溶けやすい
  味:ほくほくした触感
蒸す
味:えぐみを感じた。苦い
炒める
味:少々苦みがあるが、油と混ざってマイルドに
煮る
栄養素:栄養素が溶けた煮汁まで飲めば◎  
  味:かつおだしがよくしみておいしい

 

 

じゃがいもの調理検証

 じゃがいもはビタミンCや塩分の排出をサポートをしてくれるカリウムを多く含む野菜で、旬は4~6月、9~11月です。皮を剥いたジャガイモを変色しないようにするためには水に浸すことがおすすめですが、細かく切りすぎると、ビタミンCなどの水溶性ビタミンは溶け出てしまいます。しかし、味や見栄えのためには欠かせない手順です。

 一方で、じゃがいもの芽にはソラニンと呼ばれる毒素があるため、調理前に芽はしっかりと取り除きましょう。今回はじゃがいもに多く含まれるビタミンCに注目しながら調理法や味の違いを見ていきましょう!

電子レンジ

 じゃがいもを洗い、濡れた状態でラップに包み、電子レンジで600w6分加熱します。茹でる、蒸す、炒めると違って皮をむいた後に水に浸水する作業がないので、栄養素が溶けだす機会が少ないと考えられます。

茹でる

 茹で始め最初はでんぷん質が溶けだしていく様子が見えました。加熱する場合は栄養素の損失を少なくし、色を美しく保つようにすることが大切です。また、細かく刻んだ方が表面積の関係でビタミンCの損失が多く、浸水によりビタミンCがさらに減少します。

蒸す

 中火で8分でほくほく蒸すことができました。茹でる調理と違って水に浸る機会が少なく、栄養価を維持しやすい調理方法です。

炒める

 他の調理法とは大きく違い、油を良く吸ってこんがり焼けました。水分に浸されていないため、ビタミンCは溶けだしづらいようですが、ビタミンCは熱に弱いので、高熱で長時間炒めた場合は、減少してしていることが考えられます。

煮る

 煮汁をじゃがいもがよく吸いました。茹でた時に栄養素が溶けだしやすいのですが、煮汁として吸い込むことによって栄養価を損ねにくい調理方法となります。

じゃがいも・検証結果

 じゃがいもは加熱によりビタミンCが減少しやすいため、加熱を短時間で行う電子レンジ調理がおすすめです。(※3)じゃがいもはでんぷん質が多く、水分に溶けだしやすいビタミンCの流出を防ぐため、保存性も高いです。しかしビタミンCは湿度が高く、保存期間が長くなるほど酸化が少しづつ進み、ビタミンC(アスコルビン酸)の残存率は低下します。なるべく早めの調理がおすすめです。

  総合評価 栄養素保持
生野菜

味:そのままでは食べにくいので、加熱がおすすめ
電子
レンジ


栄養素:短時間調理がおすすめ、切り口を浸水しない方がよい
  味:粘り気があってやわらかい
茹でる

栄養素:茹で水に栄養が溶けやすい
  味:ほくほくした食感
蒸す

栄養素:水には浸らないが、熱によりビタミンCが減少する
  味:ほくほくした食感
炒める

味:油がからまり、やわらかく香ばしい
煮る

栄養素:栄養素が溶けた煮汁まで飲めば◎
  味:崩れやすく、ほくほくとした触感が感じられた

 

 

ねぎ類、レタスの栄養価を損ねない調理方法とは?


・ねぎ類(玉ねぎ、ねぎ)
 玉ねぎやねぎには刺激的な香りと辛みがあり、これは硫化アリル類が主体となっています。硫化アリル類はビタミンB1の吸収促進、活性酸素を取り除くなどの機能があると言われています。しかし加熱に弱いので、薬味としてなら調理の最後にいれるのがおすすめです。一方で、肉や魚と一緒に加熱したり、ソースにすることで臭みも摂ってくれる使い勝手のよい野菜です。

・レタス
 生野菜はしゃきっと、パリッと歯ざわりを楽しむため切った後は水につけることが多いです。これは浸透圧の関係で水分がレタスに入ったため、しゃきっとした歯ごたえを感じます。一方、水分が生野菜にドレッシングをかける場合は葉野菜などから水が出るのを避けるために食べる前にかけることがおすすめです。漬物や和え物など、しんなりさせて食べたい時は塩をふり、野菜内の水分を出します。酢の物や和え物を作る時は下ごしらえとして野菜に1%程度の塩を振り、軽く絞ると和えた時に野菜から水が出て味が薄まることを防ぐことができます。

 

まとめ

 総合的にみると、栄養価を保つには生野菜、蒸す、電子レンジ、炒める、茹でる、煮る順に損失が少ないという結果になりました。一方で、栄養価を意識した調理と、野菜の色やえぐみ、触感を生かすためには浸水や水で冷やす調理方法も大切となってきます。味と栄養素のどちらもバランスを考えながら調理方法を選択していきたいですね。
 季節が変わると旬の野菜も変化していきますので、色んな調理方法で野菜をおいしく摂ってくださいね。

 また、今回調理法の1つとして紹介した「炒める」「揚げる」などの調理に欠かせない油。実は油の種類によって健康への影響も大きく変わってきます。サラダ油以外の油の選択肢も知っておくとより身体に優しく食べることができますよ!

「身体にいい油とは?」健康によい油を選ぶための基本をご紹介!

 

監修:管理栄養士 岡部 遥

参考文献
(※1)「もっとキレイに、ずーっと健康 栄養素図鑑と食べ方テク」
監修 中村丁次、発行所 朝日出版新聞社

(※2)「NEW 調理と理論」 山崎清子、島田キミエ、渋川祥子、下村道子、市川朝子、杉山久仁子 著 株式会社同文書院

(※3)「じゃがいもの産地、品種および加熱法によるビタミンC含量の比較」荒井勝己、泉澤有美、北條勇平
https://www.jstage.jst.go.jp/pub/pdfpreview/bku/29/0_29_111.jpg (2020年10月1日)

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