妊娠中の妊婦期間は日々増えていく体重が、赤ちゃんにとっても、自分の身体にとっても平均的な増加量なのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そんなとき、運動して落としたいけれど、いつから運動を行ってよいか、どれぐらい運動していいのかは人それぞれな意見も多く、悩んでしまいますよね? 妊娠中の運動は妊娠中期~後期に行うことが推奨されています。運動内容に悩んでいる方は、これから紹介するおすすめの運動方法から自分に合うものを選んでみましょう!
今回は状態が安定しやすいと言われる妊娠中期~妊娠後期の妊婦さんの運動に注目して紹介します。
妊娠中の理想的な体重増加
妊娠中は運動を行う前に、まずは自分の体重を把握して、妊娠時の理想の体重増加を確認しましょう。妊娠による適正体重増加量(kg)は妊娠前の体格「Body mass index(以下BMI)※」によって異なっています。まずは自分のBMIを計算しましょう!
※BMIとは…肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数。計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なり、WHO(世界保健機構)では30以上を「肥満」としています。日本の基準は18.5未満が「やせ」、18.5~25が「普通体重」、25以上が「肥満」と分類されています。
妊婦の基礎的な体重管理
①現在の体重を正しく把握する
②妊娠前の体重を元にBMIを計算する
BMIの計算方法こちらです。
BMI=体重(kg)÷身長(m)² |
自分のBMIを把握したら下記の図と照らし合わせて、妊娠による適正体重増加量(kg)を確認してみてくださいね。
妊娠前のBMI |
妊娠による適正体重増加量(kg) |
---|---|
18.5未満 |
9~12 |
18.5以上25未満 |
7~12 |
25以上 |
個別対応 |
(※1)厚生労働省 妊娠期の適正体重増加量
計算例を挙げると妊娠前体重160cm、60㎏の方の場合は
BMI=60(kg)÷1.6(m)×1.6(m)=23.4 |
BMI23.4なので、妊娠による適正体重増加量は7~12kgとなります。しかし、BMIが25以上また妊娠糖尿病などと診断された方は主治医の指示に従いながら、体重コントロールをする必要があります。
妊娠中はホルモンの影響で妊娠前よりも血糖値が上がりやすくなります。妊娠糖尿病の症状や運動療法についてはこちらの記事も見てください。
妊娠糖尿病とは? かかりやすい人の特徴・赤ちゃんへの影響
妊婦は運動が必須?
妊婦さんの体調や赤ちゃんの成長が順調であれば、妊娠中は適度に運動するといいと言われています。
一般的に運動は妊娠12週以降の安定期に入ってから開始するのがよいとされています。運動するときは下記の点を確認してから始めていきましょう!
妊娠中の運動の注意点
・運動療法が可能か、運動内容適切か医師に確認する
・1日の運動時間は30分程度とし、1週間に3~4回を目安に行う
・運動中の脈拍は100~130回/分が目安
・140回/分は超えないようにする
・運動中に気分が悪くなったら中止する
・水分を十分にとる
参考:国立国際医療研究センター
妊婦は日々体調が変化しやすいため、その日の体調を考慮してから運動を開始し、途中で気分が悪くなった場合は中止して安静にするようにしましょう。あくまでも、自分にとって無理のない範囲で運動することを心がけましょう。
妊婦におすすめの運動
妊婦さんができる運動は主にしっかりと呼吸をしながら行える有酸素運動が多く、具体的には、、ジョギング、ウォーキング、アクアウォーキング、エアロビクスダンスに加えゆっくりしたヨガやピラティスなどがあります。
妊婦さんの有酸素運動の効果としては下記が挙げられます。
妊娠中の有酸素運動メリット
・妊婦として出産への不安からくるストレスの解消
・出産に必要な体力の維持や持久力の獲得
・急激な体重増加によって産道が狭くなったり妊娠中毒症になったりすることの予防
・胎児の成長に伴う血行不良・便秘・腰痛・肩こりなど妊娠期特有の不快感の緩和や解消
(※2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
運動の種類は様々であり、現在の体調、悩み、気分によっておすすめできる運動も異なります。ここからはヨガ、筋トレ、ウォーキング運動の方法や効果や特長について解説していきます! 今の体調に合わせて運動を選択してみてくださいね。
マタニティヨガはどう行う?
マタニティヨガは妊婦さんが始めやすい運動のひとつです。また、ゆっくり深い呼吸することで運動しながらリラックス効果を得ることが期待できます。
マタニティヨガがおすすめな方
・むくみやこむら返りが気になる時
・便秘が気になる時
・神経質になる状況が続いていて、リラックスしたい時
・体に冷えを感じた時
ヨガは他の有酸素運動同様、妊娠12週以降の安定期に入ってから開始するのがおすすめです。出産直前まで続ける人も多く、いつから止めるべきという制約もありません。ゆっくり深い呼吸を身に着けることは分娩時の呼吸の手助けにもなると言われています。具体的なヨガの動きはこちら動画を参考にしてください。どちらも2分30秒ほどで行うことができるヨガです。
他にも、運動以外で気を付けられる点はいくつかあります。脚のむくみ、便秘が気になる方にはこちらの動画がお勧めです。
便秘が気になる方はこちらへ
妊娠中の筋トレは必須?
妊娠中に筋トレは部分ごとに行うには大きな問題はありませんが、気を付けるべき点は多々あります。まず、筋トレに関しては赤ちゃんのいる腹部に負担をかける筋トレはなるべく避けましょう。妊婦期間は転倒などのアクシデントも心配な時期なので、大きく体を動かす運動や、息切れするような運動も控えるのがおすすめです。
妊婦期間に筋トレを行ったほうがいい項目をまとめました。
筋トレがおすすめの方
・分娩に向けてしっかり体力をつけたい時
・産後の体調が気になる時
・腰痛が気になる時
筋トレのなかでも、おすすめの運動は「スクワット」です。スクワットは出産に向けて下半身を鍛えることができます。またスクワットにより骨盤底筋(骨盤の底の子宮を支えている筋肉)を鍛えることができ、出産時にスムーズに筋肉を伸ばすことができます。また下半身や体幹を鍛えると腰痛や骨盤痛を防ぐことができます。
妊婦のスクワット運動ポイント
・たくさん数をこなすことを目標とせず、1日5~10回を目安にする
・背筋はまっすぐ伸ばして、視線はまっすぐ前を向く
・妊娠後期(28週以降)は机や安定したものにつかまりながら行う
・無理して連続で行わず、1回ごとに1分休みながら行う
筋トレはお腹の大きさや体調に合わせて自分のペースで取り組んでみてくださいね。また、お腹が大きくなりやすい妊娠後期は腕立て伏せや片足立ちなど転倒しやすいバランスをとる運動は避けていきましょう。
妊婦におすすめの運動はウォーキング!
ウォーキングは運動器具を必要とせず、簡単に始められる運動になります。ウォーキングは全身の筋肉を使うため、運動不足解消に適しています。また、運動しながら季節の変化を感じられるため、リフレッシュにも繋がります。安全のためにも1人でウォーキングをされる際は、人混みや暗すぎる道は避けて、自分のペースで歩ける安全な場所を選びましょう。
ウォーキング中のポイント
①着地の衝撃で視線が上下にぶれないように(身体が弾まないように)意識する
②姿勢は頭頂部から紐で伸ばされるように背筋を伸ばす
③お尻に力をいれ、目線は顎を引いた状態で10m先を見る
④肩が上がらないように気を付ける
⑤目線は10m先を見る
⑥肘を軽く曲げて、後ろに引くことを意識して振る
⑦呼吸は安定させて、自分が無理のないペースを維持する
⑧足はまっすぐ前に出して、いつもより軽く大き目の一歩で歩く
⑨歩くときに指で地面をつかむように意識し、母指球(親指の付け根)で地面を押し出す
また編集部ではウォーキングによって体重管理を行いやすくなりました!2週間のウォーキングの体重の変化、ウォーキングのメリット、デメリットは、こちらの記事でチェックしてみてください!
2週間「本気で有酸素運動」した結果!得られた効果とデメリットをまとめました!
まとめ
妊婦さんの体重増加の指標や運動のポイントについて理解できましたか?
体重の増加量は妊娠中の健康管理に欠かせない指標です。一方で、増えすぎてしまった場合は無理なく、楽しく行える範囲で運動してみてくださいね。
妊娠期の体重の増減にはむくみを多く関わっています。むくみは適度な運動に加えて「塩分制限」「カリウム摂取」が必要になります。具体的な食生活のアドバイスをこちらの記事で載せているので、ぜひ見てみてくださいね。
「むくみの原因」に、今日からできる10個の対策
参考文献
(※1)厚生労働省 妊娠期の適正体重増加量
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586574.pdf
(※2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット(情報提供)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-084.html
管理栄養士。NR・サプリメントアドバイザー。栄養教諭一種免許状取得。特別養護老人ホーム勤務後、「栄養」によって幅広い世代の生活を支えたいと思い、ドリコスに参画。食べることが大好き。乳製品が好きでよくヨーグルトを食べている。