ふらっとするときや集中力が低下するとき、疲れてたのかなと思い、睡眠を長時間とってもだるさがずっと続くことはありませんか?
 それは
もしかしたら「貧血が原因かもしれません。今回は貧血の症状と、貧血に大きく関与する鉄について紹介します!普段の自分の疲れ具合や状態と照らし合わせて読んでみてくださいね。

 

貧血とは?

 貧血とは、身体に十分な酸素が行き渡らず、それを補うために心臓や肺が懸命に働く(※1)ことで、動悸、息切れ、耳鳴り、めまい、集中力が低下するなどの症状が起こる症状のことをさします。しかし、貧血が緩やかに進行すると自覚症状を伴わない時もあります。

 貧血の種類は主に大きく分けて4種類あり、その中で約90%以上が「鉄欠乏性貧血」ともと言われています。

 

貧血の種類

 貧血は主に大きく分けて4種類あり、その中で約90%以上が「鉄欠乏性貧血」ともと言われています。それぞれがどんな症状があり、何が原因で起きるのか簡単に確認してみましょう。(※2)

①鉄欠乏性貧血
 鉄摂取量不足や過剰な鉄損失(生理など)、鉄需要の増加(妊娠期、授乳期)、吸収障害(胃切除等)によって起こると言われています。

②再生不良性貧血
血液を作る骨髄の働きが低下して起こる貧血です。

③悪性貧血(別名:巨赤芽球性貧血-きょせきがきゅうせいひんけつ)
赤血球が作られる時に必要なビタミンB12、葉酸が不足して赤血球が減少し、起こる貧血です。

④溶血性貧血
赤血球が120日の寿命よりも早く壊れることで起こります。原因は様々ですが、マラソン等の長距離歩行等のスポーツ選手に起こることがあると言われています。

 貧血と一言に言っても、このようにさまざまな種類があります。今回はそんな中から、90%の人に当てはまる、「鉄欠乏性貧血」には欠かせない鉄についてご紹介していきます。③の悪性貧血で葉酸不足が気になった方は、葉酸が豊富な食材についてチェックしてみましょう!

 

葉酸が豊富な食材は?妊活に欠かせない理由と一緒に確認しましょう。

 

鉄はなぜ必要なのか?

 貧血とは、酸素を運ぶ働きを持つ赤血球が不足することで酸欠状態となることです。そしてこの赤血球の構成成分の一つが「鉄」です。女性の場合、月経期は鉄が不足することによって酸素が体の隅々まで行き渡りにくくなり、爪が割れやすくなったり、肌がかさかさする、氷水を飲みたくなるといった症状も起こることがあります。イキイキとした生活を送るためにも鉄は欠かせないミネラルなのです。

 また、鉄の需要が増加する妊娠期などでは、自分の体に酸素を送るだけでなく、胎児にも血液を通して酸素を送らなければならないため、貧血になりやすいです。
妊娠に気が付くのに4~6週間程度かかりますが、その気がつかない間にも赤ちゃんは成長しています。妊娠に気が付かなくても、妊活をしている方は意識して鉄分を取るようにしましょう。

月経期に貧血以外にも生理痛の痛みが気になる場合はこちらの記事がおすすめです。

生理痛の原因は? 悩んだら知っておきたいPMS・PMDDの違いと対処法

 

鉄はどうやって体内に吸収されるの?

 鉄が体内で吸収されるためには、形が変化することが不可欠です。鉄は体内に三価(さんか)の状態で存在しますが、細胞内に取り込むには二価(にか)の状態でないと輸送できません。そのため、鉄還元酵素により還元されてから、体内に吸収されます。

 体内には約5gの鉄イオンが存在しており、毎日そのうちの1~2㎎が排泄や皮膚の剥離、脱毛などによって失われてしまいます。そのため、失った鉄は食事から補うことが必要となってきます。

 

鉄の吸収率を上げるには?

 鉄の吸収率をあげるためにはビタミンCを一緒に摂ることが大切です。鉄を細胞内に取り込むには三価(さんか)から二価(にか)へ形の変更するための還元が必要になってきます。酸化と還元は必ず同時に起きなければならないので、ビタミンCが多いほどスムーズにビタミンCの酸化が行えるため鉄の吸収率が上がると言われています。

 また、お茶などに多く含まれている「タンニン」は鉄の吸収を妨げるとも言われています。このタンニンは、鉄と結合しやすい性質を持ちます。しかし、クエン酸やビタミンCなどの酸性成分と一緒に摂取したり、胃などの酸性状態(pHが低い状態)
であれば、この結合を防ぐことができると言われています。(※4)タンニンによる吸収率は通常ではさほど敏感になる必要はありませんが、貧血などの症状を感じる方は、注目したい報告の一つです。

 

まとめ

 貧血について学び、鉄の重要性や吸収率を上げる方法は理解できましたか?実は鉄にはさらに種類があり、ヘム鉄、非ヘム鉄があります。貧血は女性には多いですが誰にでも起こりうることです。効率よく鉄も摂取していく具体的な方法も気になりますよね。下記の内容もチェックしてより効率よく鉄も摂取していきましょう!

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監修:管理栄養士 NR・サプリメントアドバイザー 岡部 遥

参考文献
(※1) KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

(※2) 東京都病院経営本部 貧血の食事

(※3) Structural basis for promotion of duodenal iron absorption by enteric ferric reductase with ascorbate (鉄還元酵素がアスコルビン酸を用いて十二指腸での鉄吸収を促進するための構造機序)

(※4) 緑茶系飲料の投与がラット鉄および亜鉛栄養状態に及ぼす影響

 

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