一度、妊活や出産を経験された方なら、聞いたことがある人が多い葉酸。妊娠初期には葉酸サプリが勧められるほど、ママには欠かせないビタミンと言われています。しかし、なぜここまで葉酸サプリが勧められるのでしょうか。今回は葉酸が豊富な食材の復習と、葉酸が必要と言われている理由をご紹介していきます。

葉酸とは?

 葉酸とはビタミンと名前は付いていませんが、ビタミンB群の仲間です。水に溶けやすい性質を持つため、身体に貯めておくことができません。そのため、毎日こまめな摂取が必要と言われています。
 身体の中ではビタミンB12や鉄と共に、赤血球を作るのをサポートします。妊活中から妊娠初期にとくに摂ることが推奨されています。

 

どうして、妊活中から葉酸を摂るべきなのか。

 妊活時から葉酸を摂るべき理由は、胎児の神経管閉鎖障害(※1)を予防するためです。胎児の脳や脊髄のもとになる神経管は妊娠初期(受胎後、約28日間)までに形成されると言われています。この神経管の形成には葉酸が欠かせないため、厚生労働省でも妊娠を希望する3か月前から葉酸を意識して摂るべきという報告もされています。

 妊娠1か月前から妊娠8週間目までの妊婦へ行った調査では、葉酸0.4~4.0mg/日の摂取は、神経管閉鎖障害児の出産頻度を下げたという報告がされています(※2)。 一方で、妊娠28日目で妊娠に気づくことは少ないため、妊娠を希望したときから葉酸は意識して摂りたい栄養素と言えます。
 ※1…神経管閉鎖障害とは、受胎後およそ28日で完成する神経管の形成異常(発達に関する異常)であり、臨床的には 無脳症、二分脊椎症(にぶんせきついしょう・脊椎骨の形成不全)、脊髄髄膜瘤(ずいまくりゅう・背部に脊髄病変部が現れる等)などの異常がでる障がいです。

 

食事だけでは葉酸は足りない?

 妊娠中にとくに必要とされる栄養素はたんぱく質,鉄,葉酸,ミネラルなどがありますが、たんぱく質以外の栄養素は必要量を十分に摂れていないという報告もされています。※3
 特に葉酸は不足しがちで、これは葉酸の含有量がとくに多い、緑黄色野菜や豆類などの摂取量が少ないことが理由としてあげられます。※3
 また、妊娠初期の葉酸推奨量は480㎍と設定されています。これは成人女性に推奨されている1日の摂取量の2倍です。普段の生活からさらに倍の量が推奨されるため、妊娠初期の葉酸摂取は、食事だけでは難しい可能性があります。

 仕事をしながらの妊活や、悪阻で栄養補給が難しい方はサプリメントでの摂取も検討されることをおすすめします。

 

葉酸はサプリメントで摂って大丈夫なの?過剰摂取にならない?

 2013年に行われた妊婦の葉酸摂取と、二分脊椎症(にぶんせきついしょう※4)を持つ小児の出生率の出産率について調べた研究によると、葉酸サプリメントを内服した場合と、しない場合では、しない場合での胎児の健康リスクが約1.6倍に上がるという報告もされています。※5
 一方で葉酸は水溶性のビタミンなので、身体に留めておくことができません。1日にまとまった量を摂取しても、使われない分は尿などと一緒に、数時間で体外に排出されます。

 一方で、葉酸を1~10mg以上摂る、摂り続けることは発熱・蕁麻疹・紅斑・かゆみ・呼吸障害などの「葉酸過敏症」を引き起こす可能性があります。※6 生の食材だけでは葉酸の過剰摂取はほとんどの心配はありませんが、サプリメントなどで過剰に摂取した場合は、リスクが上がると言われています。サプリメントを利用する場合は必ず、過剰摂取にならないように用法容量を守りましょう。

※4 二分脊椎症(にぶんせきついしょう)とは…本来ならば脊椎の管の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出て癒着や損傷しているために起こるさまざまな神経障害の状態

 

それでも食事から摂るならどうするべき?

 一方で、ナチュラル思考の方の中には「サプリメントなどの補助食品をできれば控えたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? こちらでは葉酸を普段の食事から摂るためには、どれだけの量になるのかをまとめました。

葉酸が豊富な食材ではこちらの野菜たちもおすすめです。

 ・モロヘイヤ…250㎍/100g
 ・菜の花(和種)…190㎍/100g
 ・芽キャベツ…220㎍/100g
 ・枝豆…130㎍/50g
 ・いちご…90㎍/100g
  ※(全て茹でた状態での食品成分値。可食部のみで1食に摂ることを考えてのg数。※7)

  動物性の食品ではレバーやウニ、ホタテ貝などにも多く含まれていますが、夏場は食中毒の可能性も。妊娠期は特に生でなく、加熱しての摂取をおすすめします。
 レバーは積極的な摂取はおすすめしません。その他の食材で補われることをおすすめします。(詳しい理由はこちらのページからご確認ください。)
 一方で、葉酸を食事から効率よく摂るためには、冷凍野菜を使用するのもおすすめです。冷凍野菜のコスパについてはこちらの記事がおすすめです。「冷凍野菜に栄養はあるのか?栄養士が生野菜と徹底比較!」

 

まとめ

 妊娠初期は赤ちゃんのためにも多くの栄養素を摂りたい、と思うママが多いかと思いますが、栄養素によっては毎日摂るのは難しいことも。葉酸などの水溶性のビタミンは熱にも弱く、調理する中でその量は減ってしまいます。
 効率的に、安く、野菜を取り入れるならサプリメントや冷凍野菜の使用も視野に入れることをおすすめします。
 悪阻期間などで食事を摂るのが難しい場合は、無理せず自分の食べられるもので栄養補給をしていきましょう。つわりの時に先輩ママたちが食べていた食事については、こちらの記事がおすすめです。「つわりの食事」先輩ママは何を食べていたの?アンケート結果からまとめました!

妊活、妊娠期の方にはこちらのページもおすすめです。
「家事に専念しながら妊活中のあなたへおくる栄養素」
「働きながら妊活中のあなたへおくる栄養素」
「妊娠中のあなたへおくる栄養素」

監修:管理栄養士 NR・サプリメントアドバイザー 岡部 遥

参考文献
※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(2020年7月2日) p236
※3 水上尚典 「葉酸摂取のすすめ」北海道大学大学院医学研究科生生殖医学分野 日本補完代替医療学会誌 第6巻 第2号 53-57 2009,6, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/6/2/6_2_53/_pdf/-char/ja
※5 鈴木美穂, 鈴木孝太,由田 克士,「妊娠初期における推奨体重増加量の知識と総エネルギー摂取量. 栄養素およびサプリメントの使用状況の関連」東海公衆衛生雑誌 第 7 巻第 1 号 2019,
※6 近藤 厚生,他,「妊婦ライフスタイルの変遷と二分脊椎の発生リスク」日泌尿会誌 104(4):598~604,2013, p601~602

国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 「ビタミンについての解説 葉酸解説」https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail652.html (2020年6月23日)
※7 文部科学省 「食品成分データベース」 https://fooddb.mext.go.jp/search.html (2020年 6月30日)

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