妊娠中
のあなたへおくる栄養素

妊娠中はなにかと調べものが多くなりがちなプレママさん。

「赤ちゃんにはどんな栄養がいいのか」「苦しい悪阻の期間におすすめの食べ物」など、普段よりも食事や栄養に関する検索も多くなっていませんか? 妊娠期には妊娠前に比べて1日に摂るべきと推奨される量が倍になったり、逆に摂りすぎることで赤ちゃんやママに影響が出てしまう栄養素もあります。

色々と敏感になりやすい時期だからこそ、ここでは気になる栄養素について一覧でご覧いただけるようにまとめました。

妊娠中だけでなく、「私が過ごす毎日」だからこそ足りない栄養素が知りたい方は「栄養天気予報」もおすすめです。

1日の過ごし方によって、変わっていく必要な栄養素

気になる栄養素はタッチ!



・・・赤ちゃんのための栄養素
「朝」とるべき栄養素

乳酸菌

 腸内環境を整えてくれる働きや、腸の消化する動き(ぜんどう運動)を活発にする働きがあり、便秘解消が期待できる栄養素です。食欲がない朝や忙しい1日の始まりでも、簡単に乳酸菌が摂取できるヨーグルトなどがおすすめです。
また、免疫機能の一部である免疫細胞の多くは腸付近で作られると言われています。腸の健康は季節問わず、イキイキとした生活を支えます。乳製品が苦手な方は乳酸菌ではありませんが、善玉菌にいい影響を与えると言われている甘酒(妊娠中はノンアルコール)もおすすめです。

葉酸

 葉酸は胎児の脳や脊髄のもとになる神経管の発達に関わる栄養素です。神経管は妊娠初期の数週間で形成されると言われていて、この時期に厚生労働省は妊娠前の推奨量240㎍の倍、480㎍の推奨をすすめています。
さらに胎児のDNAを合成するうえで非常に重要な働きを持つため、妊娠期間を通じて積極的に摂っていきたい栄養素です。しかし、毎日この量を食事で摂るのは難しいため、気軽に摂れるサプリメントなどの商品も多く販売されています。
野菜を食事から摂るのが苦手な方はサプリメントでの摂取も選択に考えてみましょう。 

鉄分

 鉄分は赤血球の中でも酸素を運ぶ働きを持つヘモグロビンを作るのに欠かせないミネラルです。しかし、食事から摂れる鉄の多くは吸収率の悪い非ヘム鉄で吸収率がよいとされるヘム鉄は食事の中からは15%ほどしか摂ることができません。
鉄は血液だけでなく、筋肉組織を形成するなど日常生活を送るうえでも欠かせない栄養素です。妊娠中は胎児に優先的に鉄分が送られてしまうため、お母さんの貧血対策のためにも意識して摂ることをおすすめします。
鉄分の吸収率を簡単にあげるなら、ビタミンCを豊富に含むアセロラなどの果物ジュースと合わせて摂るのがおすすめです。

カルシウム

 妊娠中は胎児の骨を形成するために、カルシウムは胎盤を通して赤ちゃんに与えられていきます。赤ちゃんの骨格形成に関わる大切な栄養素なので、お母さんの身体を通して積極的に摂っていきましょう。手軽にカルシウムが摂取できる乳製品※、他にも干しエビなどを料理に足して補いましょう!

※チーズなどの非加熱処理の食材をそのまま食べる場合、リステリア菌(食品を介して感染する食中毒菌)がいる可能性があるため、加熱して摂るのがおすすめです。とくに海外輸入のものには気をつけましょう。

マグネシウム

 マグネシウムは、健康に欠かせない体内で作られる数百種類の酵素の働きをサポートしています。妊娠期のイキイキとした生活に欠かせないミネラルです。
ひじきや昆布、ごまなどの植物性食品に多く含まれ、食品からでも十分に摂取することができます。またカルシウムと合わせると吸収率がよくなるため、食材を意識するときは合わせて摂ることをおすすめします。
現代の日本人では不足しがちなミネラルなので、1日に1回は意識して食事にプラスしてみましょう。普段の食事からであれば過剰摂取になる可能性は低いのですが、サプリメントでの過剰摂取は下痢や軟便の症状を起こすため量を守って摂取しましょう。
仕事に追われていても身体の資本は食事から
まず朝ごはんから3食のバランスを整えましょう。
「昼」とるべき栄養素

ビタミンC

 ビタミンCは柑橘類や果物類に多く含まれているビタミンです。ストレスを感じた時に分泌される抗ストレスホルモンを作るときにも大量に使われるため、家事に仕事に育児と、1日、スケジュールに追われてストレスや疲れを多く感じている方にはぜひ積極的にとっていただきたいビタミンです。
また、職場で受動喫煙や喫煙される機会が多い場合は、体内で大量に消費されてしまうためより意識していただくことをおすすめします。妊娠時の貧血が気になる方には鉄の吸収を促進させる働きがあるので重要な鉄を効率よく吸収することを助けます。
しかし、短時間で体外へと排出されてしまうため1日に何度か分けて摂取することをおすすめします。

 鉄分は赤血球の中でも酸素を運ぶ働きを持つヘモグロビンを作るのに欠かせないミネラルです。
しかし、食事から摂れる鉄の多くは吸収率の悪い「非ヘム鉄」で、吸収率がよいとされる「ヘム鉄」は食事の中からは15%ほどしか摂ることができません。鉄は血液だけでなく筋肉組織を形成するなどの、日常生活を送るうえでも欠かせない栄養素です。妊娠中は胎児に優先的に鉄分が送られてしまうため、お母さんの貧血対策のためにも意識して摂ることをおすすめします。
鉄分の吸収率を簡単にあげるなら、ビタミンCを豊富に含むアセロラジュースなどの飲み物と合わせて摂るのがおすすめです。

ビタミンA

 主に粘膜や皮膚の健康維持に必要な栄養素です。粘膜が弱ると風邪なども引きやすくなるため、普段から摂りたい栄養素ですが、妊娠前よりも意識して多く摂る必要はありません。逆に妊娠期に過剰摂取すると赤ちゃんに影響がでやすいと言われています。 一方で、授乳期には乳児の免疫に関与するため栄養素であり、不足すると母乳の濃度も低下するため、通常時の650㎍に加えて450㎍をプラスした1100㎍の摂取が勧められています。
いつ気を付けるべきで、いつから必要とされているのか確認しておきましょう。食事で取り入れる際には食材を油で炒めると吸収率があがります。野菜では人参やほうれん草、小松菜、動物性食品ではレバーや銀だら、うなぎ、ホタルイカなどがおすすめです。

ヨウ素

 ヨウ素は、脂肪を燃やしてエネルギーをつくり出したり、古くなった細胞を新しい細胞につくり替えたりなどの機能を持つ、甲状腺ホルモンの構成成分として重要な成分を担っています。
甲状腺ホルモンは基礎代謝や新陳代謝(しんちんたいしゃ)※に関わる胎児・乳幼児の発育に欠かせないホルモンです。ヨウ素は昆布やわかめなどの海藻類に多く含まれているため、日本人の食生活では不足することはあまりありません。
しかし食事の好みが洋食や、揚げ物などに偏っている場合、酢の物や、お味噌汁に海藻類を足してバランスをとるのがおすすめです。

※新陳代謝…新しいものが古い(=陳)ものと次第に入れ替わること。生物体が生存に必要な物質を体内に取り入れ、用済みとなった古い物質を体外に出す現象。物質代謝。
家事をしながら、仕事をしながら一息つく時間
2人分の栄養補給はしっかりと
「夜」とるべき栄養素

カルシウム

 妊娠中は胎児の骨を形成するために、カルシウムは胎盤を通して赤ちゃんに与えられていきます。赤ちゃんの骨格形成に関わる大切な栄養素なので、お母さんの身体を通して積極的に摂っていきましょう。
手軽にカルシウムが摂取できる乳製品※、他にも干しエビなどを料理に足して補ってみましょう。

※チーズなどの非加熱処理の食材をそのまま食べる場合、リステリア菌(食品を介して感染する食中毒菌)がいる可能性が高いため、加熱してから食べていただくのがおすすめです。特に海外直輸入の商品などには気をつけましょう。

ビタミンB1

 ごはんやお菓子、ジュースなどを習慣的に摂っている場合、ビタミンB1が不足している可能性があります。
ビタミンB1は食事から摂った糖質を、身体の中でエネルギーとして利用するために使われます。この工程(代謝)はビタミンB1が不足すると、いくら糖質を摂取しても効率よくエネルギーを作れなくなってしまいます。
その結果、乳酸などの疲労物質が筋肉に溜まりやすくなり、疲れやすくなります。妊娠中だるさが続くのはもしかすると、ビタミンB1不足かもしれません。食事から摂る場合は豚肉や蕎麦、玄米、豆類を意識して加えるのがおすすめです。

食物繊維(しょくもつせんい)

 食物繊維は大きく分けて2種類あります。便の量を増やすことで腸を刺激し、排便を促す働きがある不溶性食物繊維。こちらは便秘解消を期待することができます。特に野菜類や玄米などの穀物類に多く含まれます。
もう一つは「ネバネバ」もしくは「サラサラ」するのが特徴の水溶性食物繊維です。 海藻類に多く含まれ善玉菌のえさとなりやすいため腸内環境を整える働きがあります。2つをバランスよく摂ることで、運動は子育てしながら、食事からは食物繊維で腸内環境を整えていきましょう。 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf https://www.amed.go.jp/news/release_20200228.html

ビタミンB12

 ビタミンB12は主に赤血球の産生を助ける働きがある栄養素です。さらに、葉酸の吸収速度を速める働きもあり、どちらも赤血球をつくるのに欠かせない栄養素のため、貧血対策にもおすすめの栄養素です。
食事で摂るときは鉄や葉酸と合わせて摂りましょう。妊娠期だけでなく、授乳期では母乳をつくるためにもビタミンB12は摂取量が多く設定されています。
レバーや貝類、魚介類に多く含まれていますが、レバーはビタミンAが豊富なので、食べ過ぎには気を付けましょう。食事から摂る場合は魚卵や、サンマなどの魚類、貝類がおすすめです。生ではなくしっかりと加熱して摂るのがおすすめです。

ビタミンB6

 ビタミンB群の中でも、月経前症候群(PMS)を改善する働きがあるなど女性ホルモンバランスを整えます。また、つわり症状を改善させる働きも期待できると言われているビタミンです。
またリラックス効果を生む、アミノ酸のGABAや、セロトニンなどのホルモンを体内で作るときの材料になります。食事からとるなら、豚肉や鶏肉、玄米や鮭、間食でならバナナからこまめに摂取することをおすすめします。
最も多く含むのはマグロやカツオですが極端に摂取する必要はありません。逆に魚類の食べ過ぎには注意しましょう※。

※詳しくは妊活ページの「気を付ける食材たち」のコーナーをご覧ください。
自分のためにも赤ちゃんのためにも1日のケアはしっかりと。
妊娠中だからこそ必要な栄養素もたくさんありますが、気を付けるべきことも合わせて増えてきます。悪阻などでつらい中、食べられるもので栄養補給はできるときに、できるだけしましょう。 そんな中、気を付けたい食品がこちら。
  • アルコール

    妊娠中のアルコール摂取は、赤ちゃんに大きな影響を与えます。典型的なものは「胎児性アルコール症候群」と呼ばれ、胎児の催奇形性(身体への身体障害)のリスクが高いとされています。
    妊婦のアルコール摂取量は、これ以下の飲酒量なら安全とされている数値はありません。アルコールの影響はもちろんですが、ママが泥酔した際に意識をなくしたりなどした場合、赤ちゃんへの安全性が下がるのも懸念の一つです。
    万が一のことを考えると、妊娠中と授乳期間はアルコールは避けるのがおすすめです。授乳期が終わるまでは、ノンアルコールやソフトドリンクを選びましょう。
    参考文献:厚生労働省 e-ヘルスネット「胎児性アルコール症候群」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html (2020年 6月30日)



  • リステリア菌(食中毒)

    リステリア菌は、食品を介して感染する食中毒菌で、塩分にも強く、冷蔵庫内でも増殖します。妊娠中は、一般の人よりもリステリア菌に感染しやすくなると言われており、赤ちゃんの健康に影響がでる可能性があると言われています。
    妊娠期間中はナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)。生や低温調理の肉類、魚類。内臓のペーストなどを使ったパテ。生ハム。スモークサーモン。ローストビーフなどは控えることが勧められています。どれも大人だからこそ好きな食材ですが、出産後の解禁を楽しみに今は我慢していきましょう。
    参考文献:厚生労働省 「リステリアによる食中毒」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html (2020年 6月30日)
    厚生労働省 「これからママになるあなたへ 食べ物について知っておいてほしいこと(PDF)」 https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/ninpu.pdf (2020年 6月30日)

  • 気を付けたい成分などは多々ありますが、家にいる機会が増えるからこそ、気を付けたい食事の基本をチェックしてみましょう。
  • 塩分

    妊娠中に赤ちゃんのためには多くの栄養素とる必要がありますが、塩分は例外です。妊娠時に味の濃いモノを摂ることは元から血圧が高い場合、食生活のバランスが崩れ、妊娠高血圧症候群と診断されることも。
    健診で血圧を指摘された場合、塩分制限をお医者さんから指導されるかもしれません。その場合は医師の指導に従いましょう。
    また、塩分の取り過ぎはむくみや冷え、頻尿などにも影響を及ぼします。これらの悩みがある場合は塩分を控えめにしてみましょう。
    参考文献:公益社団法人 日本産科婦人科学会「妊娠高血圧症候群」 http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6 (2020年 6月30日)

  • 生の食品

     二枚貝や生肉、生魚や生卵などの食品は、ウイルスや細菌、寄生虫などを原因として、食中毒になる可能性が高いと言われています。
    ユッケや生卵などは避けて、食品は75℃以上1分間(ノロウイルスは85℃以上1分間)加熱してから食べるようにしましょう。
    参考文献:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」 https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/0903/h0331-1.html (2020年 6月30日)

  • 妊娠中赤ちゃんが大きくなるにつれてママの身体も変化します。
    赤ちゃんを支える、ママの体の変化とそれに合わせた食材を再チェックしてみましょう。

  • タンパク質

     たんぱく質は身体の半分以上を構成する成分ですが、たんぱく質が不足することは筋肉や細胞だけでなく、身体の内側を整えてくれるホルモンや酵素の不足につながります。
    ホルモンは女性ホルモンやインスリン、酵素は脂肪やでんぷんを分解する酵素などです。それ以外にもホルモンは身体の中に数百種類、酵素はそれを超える数千種類あると言われています。
    たんぱく質は常に体内で使われているため食べ貯めはできません。そのため、効率の良いタンパク質摂取を心がけましょう。

     画像は成人女性が1日で摂るべき推奨量になります。妊婦のタンパク質摂取は妊娠中期で+5g、後期で+25g追加することを推奨されています。
    妊娠初期は積極的に摂る必要はないとされています。赤ちゃんの身体が成長していく後半にかけて摂取量を意識してみてくださいね。
    参考文献:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (2020年 6月30日) p.106~p.119
    文部科学省「日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)(アミノ酸成分表編)」
    https://www.kyoiku-tosho.co.jp/b_data/correct/teisei_colorchart.pdf (2020年 6月30日)

  • 【栄養コラム】
    「妊娠中は味覚が変化する??」

     妊娠中に味の好みが変わったと感じていませんか?味覚の変化は悪阻と同時期に感じることが多く、 その原因は、女性ホルモンが関係していると言われています。ここでは「甘いモノ」と「しょっぱいもの」が食べたくなる時の身体の変化についてご紹介します。

    「甘いモノが食べたくなる」
     妊娠中は基礎体温が0.3~0.5℃上がることで、基礎代謝量が0.4~0.5%上がり、エネルギー消費量が増えます。エネルギー消費が増えるため、身体がエネルギー摂取として1番効率が良い、糖質を欲することから甘いモノが食べたくなると言われています。

    「しょっぱいものが食べたくなる」
     妊娠中、身体の血液量が増加することによって血中の電解質が低下し、調節するために塩気の強いものが食べたくなると言われています。夏場は汗をかきやすく同時に塩分、ミネラルも失われやすい状態にあります。夏場のおでかけには塩気のあるソフトドリンクや塩が添加された飴などを持ち運び、塩分補給もお忘れなく。

    参考文献:喜多村尚・小原郁夫「女子大生の月経期における味覚感度の変動」『日本栄養・食糧学会誌』第62巻 第6号 291-296, (2009) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/62/6/62_6_291/_pdf
    久我むつみ「妊娠による味覚機能の変化に関する検討」『日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室』99-1208, (1996)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka1947/99/9/99_9_1208/_pdf

  • 悪阻中は無理せず、食べられるもので栄養を摂ることを意識しましょう。食事が取れず、栄養素が摂れているか気になる場合は、主食でエネルギーを、副菜などはマルチサプリメントなどで補うこともおすすめです。
  • タブレット錠剤

     タブレット状に高圧で成型され、コーティングによって味やにおいを抑えられています。悪阻中においなどが気になり、ソフトカプセルなどだと大きくて飲み込みづらい方にオススメです。
    タブレット錠剤は胃ではなく腸で溶解させたり、徐々に成分を放出させたりなど工夫した商品もあります。結合剤などの添加物を使用するので、素材の純度は低くなります。

  • 粉末

     原料が粉砕されている作られていものが多く、素材の純度が高いと言えます。 高熱、高圧を長時間かける工程が少ないため、内容成分は損なわにくいのが特徴です。
    味や臭いを調整することが難しく、栄養素によっては咥内に味や粉末が残りやすいことも。水には溶けやすいものを選ぶか、味が苦手な方はカプセルタイプがおすすめです。




  • 飲み忘れを防ぐためには「食後」「就寝前」など生活の中の飲むタイミングをルーティーンとして決めておくのがおすすめです。