妊娠中は胎児の発育に影響が出る可能性が高いことから、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料やアルコール飲料を控えるようになります。

 一方で人間が体内の水を入れ替わるのに必要といわれている水分量は、食品などに含まれるものを除いて約1.5L程度と言われています。とくに妊娠中は血液量も増え、体温も上がることから汗をかきやすくなることも。そのため妊娠期こそ、こまめな水分補給が必要となってきます。

 今回はそんな妊娠期間、ノンカフェインで栄養も豊富な、赤ちゃんにもお母さんにも嬉しいノンカフェイン飲料をご紹介していきます!

 

 

妊娠中、禁忌な飲み物

 妊娠中、食事で気を付けるべき食材は聞く機会が多いと思いますが、飲み物でも気を付ける点はあります。今回は、そんな妊娠期間の飲み物に注目し、とくに気を付けたい飲み物を紹介していきます。

 

お酒(アルコール飲料)

 妊娠中や授乳中にお酒を飲むと、胎児の場合は出産時の低体重や、顔面を中心とする奇形・脳障害などを引き起こす可能性が高くなると言われており、これらの症状を総合して「胎児性アルコール症候群」と言われます。

 胎児性アルコール症候群には治療法は無いと言われており、妊娠中であればどの時期にお酒を飲んでも、胎児に影響が出る可能性があるため、妊娠中のお酒は控えるように厚生労働省からも注意喚起がされています。※1

 

▶授乳中の飲酒は?

 出産後「授乳中なら良いのでは?」と思われるかもしれませんが、 アルコールは飲んだ30~60 分後に血液中の濃度がもっとも高くなると言われています。

 授乳中のお母さんが飲酒した場合、飲酒量の平均 0.2~2%が母乳から乳児に移行すると言われています。

 これは長期間、または飲酒量が多いと、母乳の分泌を促すホルモン「プロラクチン」の分泌量が減り、結果として赤ちゃんの成長が抑制されやすくなるという報告もされています。※2 ※3

 お酒がお好きな方は我慢の時間が続きますが、妊娠中から授乳中にかけては飲酒は控え、ノンアルコールや炭酸飲料で過ごすようにしましょう。

 

カフェイン飲料

 妊娠中に気を付けたい飲み物として多く聞かれるカフェイン飲料ですが、実は世界保健機関(WHO)では、多くの研究で正確な胎児への影響は確定していないと発表されています。

 一方で、イギリスの食品基準庁(日本の厚生労働省のような組織)では妊婦のカフェイン摂取について、一部の研究結果から出生時に胎児が低体重となったという報告から、その後の成長過程で健康リスクが高くなる可能性があるとも報告されています。

 そのため、1日あたりのコーヒーは1日あたり3~4杯(1杯当たりのは約100mg)までにすることを推奨しています。※4

 カフェインを含む飲み物の代表ではコーヒーなどが挙げられます。また、エナジードリンクなどは1缶でコーヒーの2杯分ほどのカフェインを含む商品もあるため、より注意が必要です。※4
※5 カフェインを多く添加した清涼飲料水は、市販4製品の成分表示等(2017年5月29日、一般社団法人全国清涼飲料工業会調べ)
※6 コーヒー、インスタントコーヒー、紅茶、せん茶等は、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より引用

 カフェインは胎児への影響だけでなく、妊娠中血液量が増えるお母さん自身にも注意が必要です。

 血液量が増え、活動も制限がされやすい妊婦には血管の拡張効果や、覚醒作用のあるカフェインを多く含む飲み物は身体に負担となります。飲み過ぎには赤ちゃんにもお母さんにも注意したい飲み物です。

 コーヒーに比べると、紅茶や緑茶、ほうじ茶などはカフェイン量が少なめなので、そこまで避ける必要もないと言われています。しかし、妊娠中、授乳中はカフェイン飲料を1日1杯以内に抑える、または飲まないという選択肢がもっとも間違いないと言えます。

 

ハーブティー(一部)

 妊娠中にハーブティーは、ノンカフェインだからとおすすめされることが多くなります。一方で、一部のハーブには子宮を収縮させる効果があると言われており、妊娠初期から安定期までの期間はとくに注意が必要です。

 日本では妊娠中にハーブティーがおすすめされますが、気づかない内に胎児のリスクが上がることから、イギリスのNational Health Service(国民保健サービス)ではハーブ製品を高用量で利用しようとする妊婦に向けてのアドバイスが記載されており、妊婦のハーブ摂取はなるべく控えるようにと注意喚起がされています。※7

 子宮収縮作用があるハーブは以下になります。ハーブティーでよく耳にする、カモミールやジャスミン、レモングラスにも子宮収縮作用があるため、これらのハーブが含まれていないかは飲む前に注意してみましょう。ハーブは食品なので、アレルギー作用が出る可能性あります。妊娠中は初めてとる食品はアレルギーの可能性もあるため慎重に選びましょう。

▶妊娠中注意すべきハーブ一覧

 妊娠中ハーブティーを初めて飲まれる方は、自己流でブレンドなどはせず、かかりつけ医や専門店などで妊娠期に飲んでいい良いかどうかは確認しましょう。専門店では月数でのおすすめなどを販売員に伺うことをおすすめします。

 妊娠期に気を付けたいハーブと、それ以外に得られる効果はこちらです。一般的なものも多くあるため、一度目を通しておくことをおすすめします。

ハーブ名 主な適応効果※
ラベンダー 睡眠障害・神経疲労など
カモミール むくみ・緊張・興奮
ジャスミン ホルモン分泌調整・不眠・抑うつ
レモングラス 食欲不振・消化不良・風邪
セントジョーンズワート 抗うつ・消炎・鎮痛
セージ(クラリセージ) 生理痛・生理前症候群(PMS)・ホルモン分泌調整など
サンダルウッド 興奮・不安・むくみなど
シダー 不眠・むくみ・リンパの滞留など
シナモン
(カッシア、樹皮、葉)
消化不良・腸のガス溜まりなど
ニアウリ
(シネオール、ネロリドール)
呼吸器系・感染症など
フェンネル 腸のガス溜まり・発作的な内臓痛など
ペパーミント 痙攣を抑える・胃腸内のガスを排出する・胆汁の分泌・排出を促すなど
ヤロー 食欲不振・消化不良・胃炎・生理痛など
ユーカリ 花粉症・頭痛・風邪・気管支炎
その他 ハトムギなど

 

 ここに掲載したものも一部なため、より詳しく見たい方はこちらから!

 

妊娠中も飲んでOKな飲み物は?

 編集部がおすすめする、妊娠中おすすめの飲み物はこちらです。一部、飲むタイミングなどに注意が必要なものもあるため、ぜひ細かくチェックしてみてくださいね!

妊娠中はNGなハーブがある? 気を付けたいハーブ素材一覧!

 

麦茶

 おすすめの飲み方:いつでもOK!

 麦茶は夏の飲み物なイメージがありますが、ホットでも美味しい飲み物です。

 日本人の口にも合いやすく、ミネラルや食物繊維も摂ることができます。カフェインが気になるという方はノンカフェインのものがおすすめですが、麦茶に含まれるカフェインは微量であり、カフェイン自体も摂りすぎなければ大きな問題は無いと言われています。

 

コーン茶

 おすすめの飲み方:いつでもOK!

 コーン茶は豆の部分を使ったものと、ひげ根の部分を使ったものがあります。

 ひげ根には食物繊維が多く含まれており、妊娠中に起きやすい便秘症状に有効と言われています。

 一方で、カナダ公衆衛生庁 (Public Health Agency of Canada) が一般向けに作成した「妊娠とカフェイン」についての表記内では、「トウモロコシのひげ(コーンシルク)」には子宮刺激作用があると記載されています。※7
  SNSなどでは妊婦の方が好んでコーン茶を飲んで、無事に出産している事例も見かけますが、気になる方は豆部分を使ったコーン茶がおすすめです。

 他にも、コーン茶は身体を冷やすという記載が見受けられました。しかし、多量に飲まないこと、温かい状態で飲むことを意識すればコーン茶で極端に身体が冷えるということは少ないと考えられます。

 

黒豆・小豆茶

おすすめの飲み方:いつでもOK!

 黒豆や小豆をローストして作られるお茶ですが、黒豆や小豆に含まれるポリフェノール「アントシアニン」(赤い色素成分には抗酸化作用があり、身体の冷えや、美肌をサポートすることが期待できます。

 また、コーン茶同様にノンカフェインなので、妊娠期の飲み物としてもおすすめの飲み物です。

 

ルイボスティー:ミネラル補給・美容

 おすすめの飲み方:いつでもOK!

 ルイボスティーはミネラルが豊富に含まれていることで有名ですが、特徴としてはノンカフェインのため、妊娠中は不足しがちなミネラル補給にもおすすめの飲み物です。

 産後も授乳中はミネラルの必要量が通常時よりも増加するため、続けて飲み続ける人も多いお茶です。

 

甘酒:ビタミン補給・美容

 おすすめの飲み方:スムージーにプラスする

 甘酒はお酒から作られたものと、麹菌から作られたものがありますが、お酒から作られたものはアルコールを含んでいるため避けましょう。

 麹から作られている甘酒は米麹をもとに作られます。米麹にはビタミンB群や葉酸、パントテン酸やナイアシンといった妊娠中にも欠かせない栄養素が豊富に含まれ「飲む点滴」とも呼ばれます。また、米本来の甘さ(でんぷん)を活かした味なため、体重が気になるけど甘さが欲しいときに、ビタミン補給も出来るためもおすすめの飲み物です。 

 

タンポポ茶(タンポポコーヒー)

 おすすめの飲み方:牛乳でカフェオレ風に!

 タンポポ茶に使われるのはおもにセイヨウタンポポの根の部分で、ロースト(炒る)されることによってノンカフェインながらコーヒーのような味わいが感じられます。

  世界各地の伝統医学・自然薬などで使われてきた物で、肝臓や胆のう、消化不良・便秘の改善などに効果があると言われています。

 社内でちょうど妊娠中のSさんに飲んでいただ感想はこちら!

Sさん
Sさん

苦みが欲しい時に良い!
ただ私はコーヒーが好きなので、カフェインレスコーヒーに走ってしまうかも…普段からコーヒーを飲まない人にはおすすめです!

Sさんに飲んで貰ったのはこちら!
グリーンフラスコ「mama blend タンポポブレンド
756円 (税込)

 出産後の母乳の出も良くすることが期待できるため、産後の便秘などの悩みと合わせて妊娠後期から出産後に飲むのがおすすめです。※タンポポはキク科の植物なので、アレルギーがある方は注意しましょう。

 

ドライフルーツティー(オレンジ・ラズベリー・アップルなど)

 おすすめの飲み方:飲み終わった物はヨーグルトに!

 ハーブティーは子宮収縮などの危険性があるため、飲めるものと、飲めないものの判断が心配になるかと思います。ドライフルーツはハーブのように妊娠中の飲み合わせは気にせず、こまめに摂りたいビタミンCなどを摂ることができます。

 ドライフルーツの中では、お好きな果物と合わせて、柑橘類をプラスするのがおすすめです。

▶オレンジ
 オレンジはハーブや漢方などの生薬でも使われてることが多く、とくに陳皮(ちんぴ)やオレンジピールと呼ばれる皮の部分は消化不良・食欲不振・冷え症などにもおすすめとされています。

▶柚子
 柚子やレモンなどに含まれる「リモネン」という成分には血行を促進することが期待できます。他にも精神を落ち着かせる効果があると言われており、レモンよりもビタミンCが多く含まれていることと、冷えが進みやすい冬場に旬を迎えるため、おすすめの果物です。

▶ローズヒップ
 柑橘類ではありませんが、レモンの20~40倍のビタミンCを含むと言われており、形が手りゅう弾のような形をしていることから「ビタミンCの爆弾」とも言われています。

 ストレスを感じた時に不足しがちなビタミンCを気軽に補給できる以外にも、ビタミンEやトマトに含まれるリコピンや、粘膜の健康を保つβ-カロテンなども含んでおり、ローズヒップティーを見かけた時は積極的に飲まれることをおすすめします。

Sさん
Sさん

どれも、ほどよい酸っぱさが良い感じです!

最後に

 最後に原因食材となりやすい食材別で対策を確認しましょう!

・鶏卵、鶏肉は購入後すぐに低温で保存し、よく加熱する。
・牛肉や豚肉は購入後すぐに冷蔵保存し、よく加熱する。
・魚介類は低温で保存し、調理前は水道水を使い流水でよく洗い、しっかりと加熱する。
・井戸水や湧き水はそのままで飲まない。しっかりと煮沸して濾過してから飲む。
・シチューやカレーは加熱後、保存分はすぐに小分けにして5℃以下で保存(冷凍する)。
・冷凍した食品は食べる直前によく再加熱する。
・1歳児未満にハチミツは与えない。離乳食にもいれない。
・消費期限が切れ、膨張した缶詰やレトルト食品は食べない。
・二枚貝などの貝類はよく加熱する。
・生物を使用したまな板や包丁、食器はしっかりと熱消毒する。

 冬、家にいる機会が多くなるからこそ、家族全員で食事をする機会は多くなります。そんなときだからこそ食中毒は気を付けたいものです。

 一方で、食中毒は完全に防ぐことが難しいのが現実です。調理器具は衛生的に、肉類や魚類と野菜類ではまな板は変える。食器洗浄用のスポンジは調理器具用と食器用でわけるなどの対策をすることによって、普段から対策していきましょう。

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監修: 岡部遥
管理栄養士。NRサプリメントアドバイザー。 栄養教諭一種免許状取得。特別養護老人ホーム勤務後、ドリコス株式会社でオーダーメイドサプリメント抽出のアルゴリズム制作、栄養情報の配信を担当。

※1厚生労働省 e-ヘルスネット 胎児性アルコール症候群 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html#:~:text=%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E3%81%AE%E6%AF%8D%E8%A6%AA%E3%81%AE,%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82

※2 厚生労働省-たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう- https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02h.pdf

※3 Subramanian M, Abol E: Alcohol inhibits suckling-induced prolactin release and milk yield. Alcohol, 1988;5:95-98. 

※4 厚生労働省 公式ページ 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html#:~:text=%E5%A6%8A%E5%A9%A6%E3%81%8C%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%92%E6%91%82%E3%82%8A%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E3%80%81%E5%87%BA%E7%94%9F,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E6%B1%82%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

5 UK Medicines Information (UKMi)  Medicines Q&As “Is it safe to take herbal medicines during pregnancy?”  23 February 2017

※6「ハーブと精油の基本辞典」 池田書店 著者林真一郎 2020年5月25日発行

※7 国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報 妊娠中のハーブ製品*1の自己判断による摂取に注意して下さい https://hfnet.nibiohn.go.jp/usr/kiso/ninpu-herb/ninpu-herb-document.pdf (2020年12月1日)

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