「腸活」や「腸内フローラ」など腸の健康を保つことに注目が集まっている中、実践しようとスーパーで商品を見てみると「R-1」や「L92」など暗号のような名前をよく耳にしませんか?

 現在、発見されている乳酸菌は約400種類。その中でも乳酸菌は動物性のものや植物性のものなど、違いは多岐に渡ります。そんな数ある乳酸菌の中から、自分に最適なものを見つけるのは難しいですよね。
 そんなあなたに、今回は乳酸菌の種類別にその機能や基本知識、各会社が紹介している乳酸菌の効果・効能・商品名等、最新の情報を複数記事でご紹介します!

 

乳酸菌とは

 乳酸菌とは炭水化物などを分解して、乳酸をつくる細菌の総称です。乳酸菌は私たちの腸内や自然界のさまざまな場所に存在しています。

 最近の研究では乳酸菌が腸内のバランス改善に関わり、健康に良い影響を与えることから、さらに注目されるようになりました。(※1)その中で特に注目されている乳酸菌の機能について紹介します!

 

乳酸菌の機能

 乳酸菌は腸内の善玉菌などをサポートすることで、腸内環境のバランスを整えることでも知られていますが、今回は乳酸菌が持つ、それ以外のメリットを確認してみましょう!

腸内フローラのバランスを整える

 腸内を顕微鏡で見ると細菌が「花畑(英語でフローラ flora)」のように見えることから腸内フローラと呼ばれています。小腸から大腸にかけては、様々な細菌が生息しており、この細菌がバランスをとりつつ腸内フローラのバランスや環境を保っています。
 腸内フローラのバランスが崩れると便秘や下痢、肌荒れを引き起こすこともあります。逆に腸内フローラのバランスが整うとどういう効果があるか紹介します。

 

▶ダイエット効果
 乳酸菌は腸内環境を整えることにつながり、排便を促すことで体重減少に繋がります。スムーズな排便には消化や栄養吸収が不可欠です。また、腸の動きが悪くなるとストレスが溜まり、排便がスムーズに行うことができないこともあります。腸内環境を整えるには乳酸菌の摂取に加えて、ストレス解消に関わる副交感神経を整えることも必要です。

 副交感神経は自律神経の中でもリラックスしたときや、内臓機能をサポートする神経です。副交感神経が活発に働くことで消化を助けたり、リラックスすることから、空腹感からくる過食を防ぐことができます。過食を控えることによって摂取エネルギーを控えることができ、脂肪を溜めこみにくい身体にすることができ、ダイエット効果が期待できます。

 

▶免疫力の向上
 私たちの身体は食生活の乱れやストレス、加齢が原因で免疫力が低下し、感染症にかかってしまう傾向にあります。乳酸菌(L.ラクティス プラズマ)の経口摂取により免疫細胞の活性化が確認され、抗ウィルス効果を発揮しているとされる研究も発表されています(※2)

 免疫力を意識した時に乳酸菌と合わせて摂りたい栄養素はこちらから

免疫を意識するなら「摂るべき栄養素」あなたは摂れていますか?

 

▶アレルギー症状の改善
 花粉アレルギー症状は鼻づまり、目のかゆみに加え、倦怠感や集中力低下、イライラ症状から、イライラ症状などから、日常生活をおくることも難しいほどの症状を感じることもあります。

 花粉アレルギー(目のかゆみや鼻づまり)反応を経験した方に乳酸菌を8週間、毎日摂取してもらったところ、花粉による症状と生活の質を含めたアレルギー症状全般が改善したという報告もされています。

(※3)出典:大塚製薬 乳酸菌B240研究所 https://www.otsuka.co.jp/b240/immunity/immunity6.html

 

▶血糖値の改善(生活習慣病の改善)

 乳酸菌は善玉菌の活動をサポートするため、腸内環境を整える働きがあります。

 小腸で善玉菌が増えると、血糖値を下げるインスリンの分泌が適切に行われやすくなると言われています。
 また腸の正常な働きにより便秘から起こるストレスを抱えにくくなり、副交感神経の働きにより食欲を調整しやすいと言われています。乳酸菌を含む食品は生活習慣病の改善が期待できますが、乳酸菌飲料は糖質が多いものもあるため、飲みすぎには注意していきましょう。

 

乳酸菌の分類


▶乳酸菌の形

 乳酸菌の形は棒状の「乳酸桿菌」、球状の「乳酸球菌」、そして具体的には乳酸菌とはことなりますが、Y状のビフィズス菌の3つに分かれています。

 

動物性乳酸と植物性乳酸菌の違い

 また、乳酸菌は「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」の2種類に分かれます。「動物性乳酸菌」は糖類を中心に発酵することでできる乳酸菌で、「植物性乳酸菌」は植物を発酵して育つ乳酸菌です。ここからは動物性乳酸菌と植物性乳酸菌との具体的な違いを紹介していきます。

 

▶動物性乳酸菌

 動物性の乳酸菌は乳製品に含まれる動物性の乳に由来し、乳製品に含まれる糖質「乳糖」だけを分解することで生き続ける菌です。

 食品では牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品はよくご存じかと思います。他には発酵させた肉類や発酵させた水産食品(かつおぶし、にしんのぬか漬け、いかの塩辛)にも動物性の乳酸菌が活躍しています。

 動物性の乳酸菌は乳糖だけを分解して生き続ける菌のため、糖がないと生存できません。また食品によって使用する乳酸菌は異なっています。

 

▶ヨーグルト

 発酵食品のヨーグルトには菌の活躍が欠かせず、ヨーグルト独特の風味は乳酸菌が発酵を促すことによって生まれます。また糖から乳酸が作られる過程でヨーグルトが酸性になり、腐敗菌が増えるのを防ぎ、保存性は高くなります。またヨーグルトはブルガリア菌とサーモフィラス菌を組み合わせることでより多くの乳酸を生み出し、おいしいヨーグルトを作っています。(※4)

 

▶チーズ
 牛乳に乳酸菌を加え発酵させ、凝固した凝乳からホエイ(乳清)を除去し、熟成させていないものをフレッシュチーズと呼びます。熟成させたものはハード、セミハードチーズと呼ばれるものや、ブルーチーズなどのようにカビの生えたものが挙げられます。

 一方で、スーパーなどでよく見かける「プロセスチーズ」は原料となるチーズを加熱し、一度溶かして加工しているため、乳酸菌はフレッシュチーズよりも生きていないと言われています。

※プロセスチーズ:ナチュラルチーズを1種類以上混ぜてから加熱し、加工・成型したもの。

▼主なフレッシュチーズ

クリームチーズ 乳酸菌由来の酸味と乳脂肪の風味があり、豊かな味わいが特徴
カッテージチーズ 脱脂乳を原料に作られるチーズ。
温めた脱脂乳に乳酸菌を加えた後に凝乳酵素を加え、乳タンパク質が凝固したものからホエイ(乳清)を除去したものをカットし、加熱、水洗いしたもの。(※5)


 チーズは他の乳製品に比べると保存性も高いため、乳酸菌のこまめな摂取にはおすすめです! 選ぶときは加熱処理のされていないフレッシュチーズやハードタイプのチーズを選んでみましょう!

 

▶牛乳

 乳酸菌は高熱に弱く、殺菌の際に死滅してしまうとも言われています。また低温殺菌で短時間加熱の場合は乳酸菌が死滅せず、残っていることもあるそうです。牛乳は加熱処理されていることや、ヨーグルトやチーズに比べると乳酸菌の量は大きく違うのでないかと言われています。

 牛乳による健康への影響の新事実に関してはこちらの記事へ!Nutoriesでも長期間たくさんの方に読んでいただいている記事です!

身体に良い?悪い?最新論文から見る牛乳の健康への影響!

 

▶植物性乳酸菌

出典:KAGOME 植物性乳酸菌ラブレ

 

 植物性乳酸菌は動物性乳酸菌と違い、糖分がほとんどなくても、塩分や酸がある環境であれば生存することができる特徴を持っています。過酷な環境で生き抜くことができるため、CM等のメディアは「生きて腸まで届く」とよく言われています。

 乳酸菌は菌属、菌種、菌株のように分類されます。例を挙げると「ラクトバチルス・ブレビス・KB290」ではラクトバチルスが菌属、ブレビスが菌種、KB290が菌株となります。育つ環境が違っても菌種や株種が同じであれば性質や遺伝子がほぼ同一とされるため、菌類を選ぶ時は株種に注目して選択すると良いです。乳酸菌商品では各社「KB290」「シロタ」「1073R-1」など菌株で呼ぶことが多いです。植物性の乳酸菌は食物では主に味噌、醤油、漬物に多く含まれています。

 

▶ぬか漬け
 浅漬けや調味料に漬けた漬物には植物性乳酸菌は含まれていませんが、発酵しているぬか漬け、しば漬け、すぐき漬けには含まれています。

 植物性乳酸菌は酸や塩に耐性をもっているため、塩分濃度が高い困難な環境の中でも発酵することができます。漬物に使われる乳酸菌はラクトバチルス・プランタラム菌など約30種類ほどあると言われています。(※6)

 

▶キムチ
 キムチの定義(CODEX国際食品規格)は「キムチは主原料である塩漬けした白菜を唐辛子粉、にんにく、しょうが、ねぎ、大根などを混ぜて作った薬味で和え、容器に入れ、低温で乳酸を生成させた発酵食品」であると記載されています。

 キムチを長時間冷蔵庫に入れていたら、酸っぱくなってしまったという経験はありませんか? 乳酸菌は発酵しすぎると酸っぱくなってしまうため、製造時には乳酸菌が増えすぎないような工夫もされています。

 また、キムチの中にはラクトバチルス属、ワイセラ属、ロイコノス属の乳酸菌が多く、100種類以上の乳酸菌があると言われています。また、キムチから発見された乳酸菌もあり、「ラクトバチルス・キムチカス」のようにキムチの名前が含まれている乳酸菌もあります。(※7)

 辛いキムチが苦手な方は、お家で簡単に作れる水キムチもお勧めです!

▶おすすめ商品

徳山物産 水キムチの素 300ml 298円(税抜)

 水洗いし、水気を切った野菜を付けて置くだけで、簡単に漬けられる水キムチの素。編集部も愛用していますが、白菜でもプチトマトでも野菜なら簡単にあっさりとしつつ、うまみもしっかり浸かった水キムチが味わえるのでおすすめです!

 

▶味噌
 味噌の発酵には乳酸菌、麹、酵母が関わっています。その中でも乳酸菌は乳酸、アルコール、各種の風味成分を発酵し、味噌の香りや色に関与します。味噌の発酵時に乳酸菌が作る乳酸は味噌のPHを下げ、味噌の酸味をつけたり、熟成を抑える働きをします。発酵と熟成をコントロールすることにより、おいしい味噌になります。(※8)

 

 

乳酸菌一覧(菌種、菌株、機能、商品名)

 次にスーパーやコンビニで販売されている乳酸菌が含まれている商品の菌種、菌株、それぞれの機能を紹介します。同じ乳酸菌飲料でも菌種によって機能が違うため、自分の悩みに合わせて乳酸菌の商品を選んでくださいね。

 乳酸菌の中でも最近新発売されたものではキリン株式会社が発見した「
プラズマ乳酸菌」が注目を集めています。

プラズマ乳酸菌とは?「効果・おすすめの商品」をまとめて紹介!

 
菌株名 商品名
機能
1073R-1 ・明治プロビオヨーグルト「R-1」ドリンク・ヨーグルト
 https://www.meiji.co.jp/dairies/yogurt/meiji-r1/product/
免疫機能向上
免疫細胞のひとつであるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させ、ウィルスが体内に侵入した時の攻撃力を高める。
JCM5805 【機能性表示食品】
・キリン 「iMUSE(イミューズ)」 ドリンク・ヨーグルト
 https://www.imuse-p.jp/product/
ウィルス感染防御
プラズマ乳酸菌がウィルスを認識するプラズマサイトのイド樹状細胞(pDC)という免疫細胞を直接活性化する。
M-1 ・森永製菓 「食べるシールド乳酸菌チョコレート」
 https://www.morinaga.co.jp/taberu-shield/
免疫機能向上
腸内から免疫細胞に働きかけて免疫力を高める。
シロタ 【特定保健用食品】
・ヤクルト本社 「ヤクルト400」
 https://www.yakult.co.jp/products/item0007.html
腸内環境改善
生きて腸内まで届き、悪い菌を減らしておなかの調子を整える
SBT2055 【特定保健用食品】
・雪印メグミルク「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」
 https://www.meg-snow.com/products/detail.php?p=megumi_gaseri
ダイエット
食事と共に摂取することで脂肪吸収を抑え、内臓脂肪を減らす。
CP1563 【機能性表示食品】
・カルピス 「カラダカルピス」
https://www.calpis.info/lineup/
体脂肪を減らす
体脂肪燃焼を促し、脂質代謝改善に関与する。
ONRICb0240 ・大塚製薬 「BODY MAINTE(ボディメンテ)」
 https://www.otsuka-plus1.com/shop/g/g62392/
花粉症状とQOL改善
植物由来の乳酸菌で鼻づまりや目のかゆみなどの症状が現れる花粉アレルギー反応に対し、改善するために関与しています。

 

 

まとめ

 自分に合いそうな乳酸菌は見つかりましたか? 乳製品に多いイメージの乳酸菌ですが、植物の発酵食品にも多く含まれているため、和食の日は味噌や漬物なども積極的に取り入れることで摂ることが可能です。

 まずは自分にあった乳酸菌商品を選んでみましょう! 乳酸菌と免疫力の関係が気になっている方には、こちらの記事もおすすめです!

免疫を意識するなら「摂るべき栄養素」あなたは摂れていますか?

 

参考文献

(※1)ビオフィルミン製薬 乳酸菌とは https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/knowledge/about/

(※2)キリンホールディングス 乳酸菌 L.ラクティス プラズマ 研究ライブラリー https://health.kirin.co.jp/ps/library/mechanism/index.html

(※3)大塚製薬 乳酸菌B240研究所 https://www.otsuka.co.jp/b240/immunity/immunity6.html

(※4)明治 乳酸菌研究最前線 https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/lactobacillus/

(※5)雪印メグミルク チーズクラブ https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/jiten/shurui/fresh/

(※6)昔ながらの漬物屋 樽の味 https://www.tarunoaji.com/nyusankin.html#h4-04

(※7)カルピス株式会社 乳酸菌と発酵 https://rd.asahigroup-holdings.com/research/enjoy/kins/pdf/vol8.pdf

(※8)神州一味噌株式会社 https://www.shinsyuichi.jp/misolibrary/detail/1

(※9)キリンホールディングス 乳酸菌 L.ラクティス プラズマ 研究レポート https://health.kirin.co.jp/ps/index.html

(※10)健康産業新聞 2020年11月10日 https://news.yahoo.co.jp/articles/4f8dd73916ca427d3b9f577c9dedf3659505f83f

(※11)明治 乳酸菌1073R-1株試験結果 https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/01/

(※12)明治 R-1 よくある質問 https://www.meiji.co.jp/dairies/yogurt/meiji-r1/qa/

 

3+