夏に近づくにつれて気になるのが、熱中症。
 梅雨が明ければ今年も、去年のような暑さが襲ってくるのかなと思うと、ちょっと憂鬱ですよね。さらに今年はコロナウイルスの影響により、新しい熱中症対策が環境省などから発表されています。

 妊婦は熱中症になりやすいとも言われていますが、果たして本当なのでしょうか? 今回は変化の大きい今年こそ気になるコロナを意識した、熱中症対策についてご紹介していきます。

熱中症とは?

 熱中症は主に高温多湿な環境が原因となり、その環境に適応できなくなった身体に起きるさまざまな症状の総称をさします。ひどい場合は身体の体温調節ができなくなり、最悪の場合は命の危険もあるため、老若男女関わらず気を付けたい症状です。具体的な症状では…

めまいや顔のほてり 筋肉痛や筋肉の痙攣(けいれん)
身体のだるさや吐き気 異常な汗の量
体温が高い、皮膚の異常 まっすぐに歩けない
水分補給が困難 呼びかけに反応しない

などが上げられます。(※1)  特に熱中症になりやすい、高齢者、乳用児、妊娠中の方以外も、この項目を念頭に、これから紹介する熱中症対策をチェックしてみましょう。

 

熱中症の原因をおさらい

 毎年の猛暑でもう聞き慣れた、という方も多いかと思いますが、念のため、熱中症が引き起こされる要因について確認しておきましょう。 環境省の熱中症予防情報サイト(※2) では、熱中症を引き起こすのは「環境」「からだ」「行動」といった3つの要因があると紹介しています。それぞれに何が要因となっているのかをまとめてみました。

▶「環境」の要因

要因
1.気温が高い 5.締め切った室内
2.湿度が高い 6.エアコンのない室内
3.風が弱い 7.急に暑さが増す
4.日差しが強い 8.熱波の襲来


▶対策

 環境の要因は外出する時間を日中は避けたり、涼しい服装を選ぶ、エアコンを利用する、外では日光をさえぎる日傘や帽子などで対策できそうです。


▶「からだ」の要因

要因
高齢者や乳幼児である 低栄養状態である
下痢やインフルエンザで脱水症状が場合 二日酔いや寝不足といった体調不良


▶対策

 高齢者や乳幼児は家族が一緒に体調管理を行うことが必要となります。それ以外の方の場合は体調不良を感じた時は、無理をしないことが最も大切です。
 とくに夏場に起きやすい、食中毒では脱水症状が起きやすくなるので、熱中症リスクも高まる可能性があります。二日酔いや寝不足などは事前に防げそうではありますが、どちらもこまめな水分補給を欠かさないことが重要なようです。


▶「行動」の要因

要因
激しい労働や筋肉を使った運動 水分補給ができない環境
屋外での長時間労働  


▶対策
 屋外で体力を使う作業をする場合は熱中症のリスクはもちろん高くなります。また、妊婦の場合は、臨月に近づくほど、思うように身体が動かず体力を消耗してしまうことも。夏のおでかけや、久しぶりの長時間外出は余裕のある計画と暑さ対策をしっかりと行ってくださいね。

 

妊婦は熱中症になりやすいのか?

 SNSなどでは妊婦は熱中症にかかりやすいというコメントが複数見受けられますが、国の発表の中では「熱中症にかかりやすい人」というくくりでは、妊婦の表記は見受けられませでした。(2020年6月時点)

 一方で、蒲郡市保健医療センターの公式ページでは「胎児は体温が高く、それに引きずられる形で妊婦の体温も高くなります。そのため妊婦が体内から奪われる水分量は一般女性の1.5倍に上るといわれています。そのため、熱中症の危険が高まるので注意が必要です。」と紹介されています。
※3

 妊婦の血液量は妊娠前に比べ、胎児に酸素を送るために増えます。この量は妊娠前の1.4~1.5倍と言われています。血液量が増えることは自然と体内の水分量も増え、それを保つための水分補給も必要となります。結果として妊娠前に比べると、妊娠中は水分補給がより必要となると言えます。

 また、妊娠初期の悪阻期間や後期になるほど、食事や生活の中で今までできていたことがしづらくなる場合、寝不足などから熱中症リスクが高まるとも考えられます。まずは毎日の健康チェックや、こまめな水分補給を忘れずに行いましょう。

 

コロナと熱中症、どちらも防ぐには?

 今年の夏は「新しい生活様式(コロナ感染予防)」と「熱中症対策」の両方を求められています。

 しかし、コロナ対策で求められるマスクの着用は、熱中症対策では逆効果となることも。高温多湿な状況でマスクをした場合、呼気が高温になることや、肌から熱が逃げづらくなることで、体温調節が難しくなり、結果として脱水症状を発症する可能性が高くなります。

 これらの矛盾から、環境省と厚生労働省が2020年6月に発表した熱中症予防とコロナ感染
防止をまとめた提案が発表されました。発表に沿った内容をこちらで5つにまとめて紹介していきます。※2

人がいないところではマスクははずす。

屋外で活動する場合、ずっとマスクを付けていると熱中症リスクが上がります。屋外では周りの人と2m以上離れている状況では、マスクははずしましょう。また、マスクをはずすときはフィルターや布部分には触れずに、耳にかけるゴム部分を持って外すとマスクの清潔さを保てるとも言われています。

 

エアコン使用中もこまめに換気をする

 エアコンをつけているから、換気はされている。と思われている方もいらっしゃると思いますが、一般的な家庭用エアコンでは、室内の空気は循環させても、換気は行っていません。

 そのため、定期的に窓をあけて換気をするのが推奨されています。換気をする際は、風の通り道になる場所を2か所作り、屋外から室内に向けて、扇風機やサーキュレーターで風を室内に送り込むと効率よく換気が行えます。

のどが渇いていなくても水分補給がこまめに

 水分補給はこまめにと言われるけれど、具体的にはどの程度がこまめになの?と思われたことはありませんか?今回の報告では、1時間ごとにコップ1杯を推奨しています。

 熱中症の初期症状では、水分が逆に喉が渇きにくくなるというのも見受けられます。重症化すると自力での水分補給が難しくなるので、その点も注意しましょう。

 特に水分が失われやすい、入浴前後、朝起きてからは水分補給を習慣化するのをおすすめします。その他の水分補給の目安としては、尿の色が濃い場合、水分補給が不足している可能性があります。(ビタミン剤などのサプリメントを摂取している場合をのぞく) 水分補給が苦手な方は、ストローで飲む。すぐに水が飲めるように、手の届く距離に飲料を置くなどの方法も試してみるのがおすすめです。また、悪阻で食べにくい場合はこちらの記事で気楽に栄養を摂る方法を紹介しているので、見てくださいね!

あなたの悪阻タイプは?「吐き、食べ、におい、よだれ」先輩ママのつわり症状まとめ

暑さを避ける

暑さへの耐性は人それぞれ異なりますが、熱中症を防ぐためには、速乾性のある涼しい服装を選ぶことや、日傘や帽子を使うこと、屋外の場合は日陰に入ることなどが勧められています。

 妊婦さんや高齢者の場合は、いざというときに身体のバランスをとれるように、帽子の着用もおすすめします。もちろん手荷物に余裕があるときは日傘の利用もおすすめです。
また、体力に余裕があるときは遠回りして地下道や、日陰の多い道を選ぶなどの工夫もしてみるのもおすすめです。

▶暑さに備える健康管理、体力づくりを行う
 簡単な行動としてはまず、毎朝の検温。食欲や顔色などの健康チェックを行いましょう。コロナ対策や妊娠期の体調管理もかねて、毎日の健康チェックは欠かさず行いましょう。
 また暑さに備えるためには、暑さがピークになる前から適度に運動することも、身体が暑さに慣れるのに繋がるのでおすすめなようです。今回の報告では1日30分程度の運動が推奨されています。最近では室内でできる「宅トレ」も流行っています。ぜひ暑さに慣れていない方は涼しい環境で、水分片手に試してみましょう。

 

まとめ

 2020年は新しい生活様式に合わせて、熱中症対策にもこまめな換気などが必要とされています。
 妊娠中はとくに体力も落ちやすく、数カ月前は何てことのなかった作業で、思わずかなり体力を使うことがあります。

 これから迎える暑すぎる夏は、マスクなどのコロナ対策に縛られ過ぎずに臨機応変に対応して、体調管理をしていきましょう。毎朝の体調チェックも忘れずに!お子さんの熱中症対策はこちらの記事も見て確認してみてくださいね!

子どもの「コロナ×熱中症対策」はどうするべき? 管理栄養士が紹介

監修:管理栄養士 NR・サプリメントアドバイザー 岡部 遥

参考文献:
※1 一般財団法人日本気象協会 「熱中症ゼロへ® みんなの力で熱中症をゼロにしよう」https://www.netsuzero.jp/learning/le01 (2020年7月5日)
※2 環境省 厚生労働省「熱中症予防×コロナ感染防止で「新しい生活様式」を健康に!」2020年6月 https://www.city.gamagori.lg.jp/uploaded/attachment/67110.pdf (2020年7月5日)
※3 蒲郡市保健医療センター 「熱中症に気をつけましょう」https://www.city.gamagori.lg.jp/site/hokencenter/necyusho.html (2020年7月10日)

 

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