梅雨のムシムシした状態から、気が付くと暑い夏がやってきましたね。急な温度や湿度の変化に体調はついていっていますか? 今年の夏はこれまでの暑さに加えて、マスクの着用など、去年と違った暑さとの戦いにもなりそうです。

 今回は、
暑い季節の始まりに気を付けてほしい「熱中症」の中でも、とくに熱中症のリスクが高いと言われる、赤ちゃんや子どもの熱中症対策についてご紹介します!

 

熱中症とは

 気温の上昇や激しい運動をすると汗で多くの水分が失われます身体から失われる水分量が増え、汗や皮膚温度で体温が調整できず、体温が上昇し、調整機能のバランスが崩れて身体に熱がこもる状態のことを熱中症と言います。(※1)

 

子どもは熱中症になりやすい?

 大人は身体の約60%が水分、子どもは身体の約80%が水分と言われています。子どもは体温の調節機能が未発達で、汗もかきやすいため、夏は特に脱水しやすい状態にあります。

 またエネルギー代謝が活発なため、たくさんの水分を必要とします。身体もまだ小さいため、地面からの照り返し(輻射熱)による影響を受けやすく、かといって、室内の涼しい環境に慣れすぎると、外気との気温差で環境面からも熱中症になりやすい状況にあります。(※3)

 

コロナと熱中症、どちらも防ぐには?

 一方で、今年の夏は「熱中症対策」と「新しい生活様式(コロナ感染予防)」の両方を求められています。 子どもは頭が地面に近く、大人よりもコンクリートやアスファルトから立ち上る輻射熱(ふくしゃねつ)により、熱中症リスクが高くなります。
 また、高温多湿な状況でマスクをした場合、呼気が高温になることや、肌から熱が逃げにくくなることで、体温調節が難しくなり、結果として脱水症状を発症する可能性が高くなります。

 子ども場合、日本小児科学会からマスクの着用(特に2歳児以下)は危険と言われています。(※2)

▶呼吸が苦しくなり、窒息の危険がある。
▶嘔吐した場合にも、窒息する可能性がある。
▶熱がこもり、熱中症のリスクが高まる。
▶顔色、呼吸の状態など体調異変の発見が遅れる。

 熱中症の症状は身体がだるい、発熱、ふらつきなどもあります。これらの症状は新型コロナウィルスの症状とも似ており、見分けが難しいと言われています。感染症では体内の水分量によって症状も異なってきます。熱中症について知り、対策をすること感染症対策にも繋がってきます。

 

今年の夏に特に気を付けてほしいことは?

 今年の春は緊急事態宣言で外出自粛もあったため、外の暑さに慣れていなかったり、筋肉量が減りがちです。筋肉量が低下することで、体内に保持できる水分量も少なくなり、熱中症になる状態にあると言えます。またマスクの着用により、マスク内の湿度が上がっていることから、喉の渇きが感じにくくなります。

 今年の夏は気づかないうちに熱中症になりやすくなっているリスクと、基本的な免疫力を意識して過ごすことが重要です。免疫力についてはこちらの記事をご確認ください。

これさえ読めばわかる「免疫力 とは?」の疑問を分かりやすく解説!

 

赤ちゃん・子どもの熱中症対策

 まだ言葉で症状を伝えられない赤ちゃんは、症状や状態に注目してください。いつもと比べて以下のような症状が2つ以上あったら熱中症を疑ってくださいね。

 ☐ 不機嫌、あやしても泣きやまない
 ☐ 泣いているが、涙の量が少ない
 ☐ 熱があるのに汗をかかない
 ☐ 食欲がない
 ☐ 眠りがち
 ☐ 口や鼻の中が乾いている
 ☐ 目がおちくぼんでいる
 ☐ 舌が白くおおわれている
 ☐ 皮膚に弾力性がない (※4)

 

 もし熱中症の疑いがあった場合は涼しい場所に移動しましょう。
 氷があれば氷を首の両脇、わきの下、太ももの付け根にあてて冷やしましょう。皮膚に冷水を少しかけてうちわで風を送るのもおすすめです。意識があれば水分や塩分を摂らせてあげてくださいね。
 1日あたりの水分摂取の目安は下記のように勧められています。(※こちらの表記は一つの研究結果を参照したものです。水分補給は量を摂ることにこだわり過ぎず、不足しないようにこまめに行いましょう。)

年齢/性別

水分の適切な摂取量(1日あたり)

  総水量* 水を含む飲料の量
乳児
0~6カ月 0.7L**
7~12カ月 0.8L***
小児
1~3歳 1.3L 0.9L
4~8歳 1.7L 1.2L
青少年(9~13歳)
男性 2.4L 1.8L
女性 2.1L 1.6L
青少年(14~18歳)
男性 3.3L 2.6L
女性 2.3L 1.8L

*「総水量」には摂取したすべての食品や飲料に含まれる水分。
**母乳と想定した。
***母乳と補完食品や飲料と想定した。(※5)

 

 

熱中症対策の具体例

  熱中症対策ではシンプルに「水分・塩分補給※」「涼しい環境」を意識してください。お子さんの年齢によって、熱中症対策は変化するので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 ①こまめな水分・塩分補給をしましょう
 ▶「言葉が伝わらない赤ちゃんの場合」
 ・赤ちゃん用マグでこまめに水分補給をする
 ・離乳食の段階に合わせて、食事でも汁物を用意してみましょう
 ・嫌がった場合は大人が飲んでいる姿を見せる

 ▶「小学生や中学生の場合」
 ・クラブ活動などで汗をかいた時のために、スポーツドリンクを用意する
 ・食事から栄養補給もかねて塩分補給をする

 ※水分の過剰摂取はあまりないと言われていますが、必要以上に水分をとると、私たちの身体は、過剰な水分摂取量に比例して尿量を増加させます。ただし、摂取した水分が、腎臓の水分排泄能力を超えた場合は、体内のナトリウム濃度が希釈され、深刻な電解質不均衡につながる可能性があります。この状態は、低ナトリウム血症や水中毒と呼ばれます。低ナトリウム血症は、生後6ヵ月未満の乳児でよく見られます。(※5)

 

②涼しい環境を用意しましょう
 ▶「言葉が伝わらない赤ちゃんの場合」
 ・ベビーカーにひんやりマットしく
 ・保冷剤や濡らすと冷えるタオルを用意しておく
 ・ハンディ扇風機などで風をこまめに送ってあげる

 ▶「小学生や中学生の場合」
・休憩は日陰や風通しのよい環境で過ごす
 ・服装は首や手首などが締め付けられておらず、生地が通気性の良いものを選ぶ
 ・運動はこまめに休憩をはさんで行う
 ・帽子を着用する

 

まとめ

 赤ちゃんや子どもは特に気を付けてほしい熱中症に関して理解できましたか?子どもは大人よりも体温が高く、また肌面積に対して、汗腺の量は大人並みにあるので、汗も大人よりかきやすい体質をしています。そのため、こまめな水分補給を大人よりも心がけましょう。 

 熱中症は体内の水分不足であり、摂取した栄養素が造血細胞(※)に届かず、免疫機能が低下する可能性があります。この夏は水分・塩分をしっかり補給して熱中症のリスクに備えて、暑い夏を乗り越えていきましょう!
 ※造血細胞:赤血球や白血球など血の成分をつくる細胞

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監修:管理栄養士 NR・サプリメントアドバイザー 岡部 遥

参考文献
(※1) 環境省 熱中症予防サイト https://www.wbgt.env.go.jp/doc_prevention.php (2020年7月10日)
(※2) 日本小児科学会 乳幼児のマスク着用の考え方 http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=117 (2020年7月10日)
(※3)(※4) STOP熱中症 教えて!「かくれ脱水」委員会 https://www.kakuredassui.jp/stop/step/junior/junior01 (2020年7月10日)
(※5) 日本コカ・コーラ株式会社 「水分補給の基礎知識。水分補給の専門家であるAnn Grandjean先生へのインタビュー」 https://www.cocacola.co.jp/article/hydration-tool_03#6  (2020年7月10日)

 

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