コロナウイルスの影響で、サプリメントの中でも需要が増したといわれている「ビタミンD」。ビタミンDは身体のなかでどんな働きをしているのでしょうか? 筆者は中学生の家庭科の時間に日光に当たるとビタミンDを体内で作ることができると習い、びっくりしたことがあります。
 新型コロナウィルスの情報で「ビタミンD」について関心を持った方も多いのではないでしょうか。今回はビタミンDの働きと摂取量、効率よくビタミンDを合成するにはどうすればよいのか解説していきます。

 

ビタミンDの働きについて

 ビタミンDはカルシウムの代謝調節に欠かせず、骨や皮膚の健康維持に必要不可欠な栄養素です。また、脂溶性ビタミンの一種で水に溶けにくく、油に溶けやすい特徴をもっています。
 日光を浴びることで体内でも作られますが、紫外線や日焼け対策を行っている方には、積極的に摂取することをおすすめします。最近では、ビタミンDは骨や筋肉、腎臓や神経、心臓などの動きに関わるホルモンと似ていることから、最近とくに注目を浴びています。
 接客業や立ち仕事が多いママさんはこちらをチェック!ビタミンDに加え、必要な栄養素を紹介しています!

不足、過剰摂取した場合の影響は?

 ビタミンDが欠乏すると、小どもは骨がもろくなりやすい「くる病」、大人では骨の痛みを感じる「骨軟化症」が起こると言われています。(※1) また、軽度のビタミンD不足であっても、腸管からのカルシウム吸収の低下と、腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、「低カルシウム血症」になることもあります。軽度のカルシウム血症の場合、症状が出ないことも多いですが、重度になると背中の筋肉や足の筋肉で痙攣(けいれん)を起こすこともあります。

 カルシウム血症になると、古くなった骨が分解し、破壊され、骨からカルシウムが放出される骨吸収がすすみ、骨粗鬆症及び骨折のリスクとなる場合があります。

 一方、ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、体内に蓄積するため、過剰摂取の心配もあります。過剰摂取では、高カルシウム血症となり、腎臓や心筋や肺などにカルシウムが沈着します。そのため腎機能障害による食欲不振や嘔吐などの症状が出る場合があります。接客業や立ち仕事が多いママさんはこちらをチェック!ビタミンDに加え、必要な栄養素を紹介しています!

 

栄養素辞典_接客業・立ち仕事が多いママへ送る栄養素

 

ビタミンDと感染症の関係

 新型コロナウィルスの流行時に「ビタミンDを積極的に摂りましょう」と言った話が多く流れました。最近では、免疫システムの一部を担っていることが明らかにされていますが、サプリメントにより食事摂取基準で示された目安量(8.5μg/日:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」男女18歳~)以上に取ることで、新型コロナウイルスが予防、治療できる根拠はないと言われています。(※2)

 しかし、ビタミンDは風邪やインフルエンザとの関係性を示す研究もあります。ビタミンDは体内で免疫細胞を活性化させる働きがあるため、食事からビタミンDを摂取しなくとも日光を浴びてビタミンDの体内合成量を増やすことで、免疫機能が向上すると言われています。このことから、風邪やインフルエンザに有効であると言う報告もあります。(※3)

 

効率よくビタミンDを合成するには?

 ビタミンDはビタミンの中でも珍しく体内で合成することができます。一方で、日ごろから、日焼け対策を欠かせない方や、リモートワーク、育児や家事などで外に出る機会が少ない方に特に不足しやすい傾向にあります。1日に、15分程度腕を日光にさらすことでもビタミンDは作られます。朝や通勤時は日焼け止めを塗らずに過ごすのもおすすめです。
また日焼けを気にさせる方はシミとビタミンCに関する記事も見てみてくださいね!

そのシミ、ビタミンC食材の摂りすぎかも?ちゃんと知りたいソラレンと美容の関係

 

ビタミンDが多く含まれる食品は?

 ビタミンDはサケ、イワシ、マス、ニシン、ウナギなどのあぶらの多い魚や、きのこ類にも多く含まれます。また、ビタミンDが添加されている乳製品、マーガリン、粉ミルク、一部のヨーグルト等を活用するのもおすすめです。ありです。食事が十分に摂れず、 日光浴をする余裕がないときは、サプリメントを活用してみてはいかがでしょうか?サプリメントを服用するときは過剰摂取にもお気を付けください。(※2)

 

まとめ

 ビタミンDの機能や免疫と日焼け対策の関係や、多く含まれる食品について理解できましたでしょうか? ビタミンDは室内にいることが多い時は、食事からも不足していないか確認したい栄養素です。現在は、季節問わずに「免疫力」が意識される機会が増えました。。ビタミンDも関わる「免疫力」については、こちらの記事でも詳しく紹介しています! ぜひ合わせてご覧ください!

これさえ読めばわかる「免疫力 とは?」の疑問を分かりやすく解説!

監修:管理栄養士 岡部 遥

参考文献
(※1)一般社団法人 日本内分泌学会 骨軟化症
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=53

(※2)公益社団法人 日本栄養士会「新型コロナウイルスの状況下、今、栄養指導に必要な一般生活者へのアドバイス」
https://www.dietitian.or.jp/important/2020/4.html

(※3)ビタミンDの多彩な効用 感染症、アレルギー、癌などの発症予防効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/91/1/91_70/_pdf/-char/ja

4+