肌のトラブルの原因として多く耳にするのが紫外線や肌の酸化。そんな肌トラブルの原因から肌をしっかり守るには、①日焼け止めをしっかり塗って、②メイクをきちんと落として、③保湿を含めたケアをしっかりする。どの基本のケアをすることが大事!
と、わかっていてもなかなか毎日欠かさず行うのは大変ですよね。一方で、外側からの肌ケアに加えて、内側から肌にのためになる食生活を送ることは意識していますか? 肌を作るのも食事から摂った栄養がもととなっています。今回は、内側から肌のケアをすることのできる抗酸化作用を持つビタミンと、美しい肌のつながりについて、基本の機能から悩み別のおすすめまで詳しく紹介していきます!
どうして肌トラブルが起こるの?
そもそも、なぜ肌トラブルは起きるのでしょうか? 肌は28日前後で生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返して、常に新しい肌へと変化しています。しかし紫外線や空気の乾燥による外からの刺激や、体調の乱れなどが原因で、ターンオーバーのリズムが乱れると、肌トラブルが起きやすくなると言われています。
また、ターンオーバーは年齢を重ねるにつれて遅くなります。ターンオーバーは40代になると約40日かかると言われ(※1)、ターンオーバーが乱れたまま年齢を重ねることは肌トラブルが増える傾向にあります。
肌ダメージの原因とは
肌は紫外線などから影響を受け、体内でシワなどの原因となる「活性酸素(酸化力が強い酸素)」が増えることで、シミやシワなどの原因になると言われています。一方で、活性酸素は肌を外からの刺激から守る役割も担っています。しかし防御力が強すぎるために、活性酸素が増えすぎると体内の細胞を傷つけてしまうのです。
活性酸素が増え、肌細胞が酸化すると肌を修復しようとターンオーバーが早まり、未熟な細胞が肌となるため、保湿力が低く、乾燥したカサカサした肌になってしまいます。よって、肌の健康を保つためには、増えすぎた活性酸素の働きを抑える作用を持つ、肌の抗酸化作用に関わる栄養素を摂ることが重要です。
抗酸化作用をもつ栄養素とは?
主に抗酸化作用をもつ栄養素はビタミンC、ビタミンA、ビタミンEなどです。
人間の身体は本来、酵素によって活性酸素を抑える働きが備わっていますが、年齢を重ねるとともに体内で作られる酵素の量は減少していきます。抗酸化作用を持つビタミンは、酵素によって対処しきれない活性酸素の働きを抑えるため、その健康効果にも注目が集まっています(※2)
「活性酸素」におすすめの栄養素は?
活性酸素は分子構成により主に4種類に分かれます。主に対応する栄養素はビタミンC、ビタミンE、ビタミンA(β-カロテン)と呼ばれており、各栄養素によって対応する活性酸素は異なります。
肌の抗酸化作用を持つ栄養素がそれぞれ対応する活性酸素が異なっていることを理解できましたか? 抗酸化作用といえばビタミンC等、そればかり摂取するのではなく、自身の酸化レベルに合わせてバランスよく、栄養素も摂っていくことが必要ですね。
次に肌が酸化することが原因としておきやすいニキビ・シミと活性酸素の関係、おすすめの栄養素、肌ケアのおススメについてご紹介していきます!
悩みに合わせたシミ対策を見つけよう!
ここまで、肌の抗酸化作用を持つ栄養素がそれぞれ対応する活性酸素が異なっていることについて紹介してきましたが、ここからは肌の酸化が原因となりやすい「ニキビ」や「シミ」と活性酸素の関係、おすすめの栄養素、おすすめの肌ケア方法についてご紹介していきます!
抗酸化作用といえばビタミンC等、そればかり摂取するのではなく、身体の酸化レベルに合わせてバランスよく、栄養素を摂っていきましょう!
ニキビの悩みに合わせたビタミンは?
ニキビは季節問わずできやすく、悩みの一つですよね。ニキビができるメカニズムには皮脂が酸化によって錆びた状態になり、固い皮脂となって毛穴を塞いでしまい、炎症を起こすことがあげられます。そんなニキビにオススメの栄養素がこちら!
抗酸化栄養素おすすめランキング
1位:ビタミンA(β-カロテン) |
---|
皮膚や粘膜の新陳代謝を促し、抗酸化作用によって肌が酸化にも機能面で効果が期待できます。 |
2位:ビタミンC |
---|
ビタミンEの抗酸化作用もサポートし、多くの活性酸素にも対応できるため、ニキビ跡などにもアプローチしてくれるビタミンです。 |
3位:ビタミンE |
---|
ビタミンCのサポートを受け、強い抗酸化作用と新陳代謝を促します。 |
ニキビはホルモンバランスの乱れや不規則な睡眠不足、運動不足、偏った食事も影響しています。
ニキビとホルモンの関係が気になる方はこちらから
あなたのニキビの原因はホルモンが関係あるかも?基本と正しい対策をご紹介!
シミの悩みに合わせたビタミンは?
アンチエイジングにはシミ対策は欠かせませんよね。シミには老人性色素斑(薄い茶色のようなシミ)、脂漏性角化症(シミがイボのように盛り上がったもの)、雀卵斑(そばかす)など様々な種類があるのですが、今回はシミの中で最も多い老人性色素斑について紹介します。
シミのでき始めは薄い茶色で次第に濃く、はっきりとしてきます。シミができる原因は、紫外線が表皮細胞に当たることによって、メラニン色素が皮膚細胞に生成されることによってできます。通常メラニンはターンオーバーと共に排泄されますが、メラニン色素が作られ続けるとシミとして残ってしまうことがあります。
抗酸化栄養素おすすめランキング
1位:ビタミンC |
---|
シミとして残ってしまう原因となるメラニン色素の沈着を抑え、シミを薄くすると言われています。紫外線を多く浴びやすい3月頃からのビタミンC摂取がおすすめです。 |
2位:ビタミンE |
---|
ビタミンEが不足すると皮膚の細胞が酸化しやすいです。血行にも関わり、顔色をよくしたり、肌のつやのサポートを行うため、アンチエイジングには欠かせない栄養素です。 |
3位:ビタミンA |
---|
ターンオーバーのリズムを整え、シミの原因となるメラニン排出に関わります。 |
一方で「ビタミンCの摂り過ぎがシミに関わる」という噂もSNSなどで見かけることがあります。その真相について、気になる方はこちらの記事もおすすめです!
そのシミ、ビタミンC食材の摂りすぎかも?ちゃんと知りたいソラレンと美容の関係
ビタミン「A」「C」「E」が豊富な食材は?
最近では、サプリメントでも抗酸化作用を期待して飲む方が増えてきた、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEですが、食事から意識して摂ることも可能です。
とくにビタミンCは水溶性のため、摂取してからも数時間で体外に排出されてしまうため、こまめな摂取がとても重要です。明日は抗酸化作用の高い食材をチェックしてみませんか?
ビタミンA |
---|
レバー(鶏、豚)、あんこう、ぎんだら、モロヘイヤ、にんじん |
※妊娠を希望する人は妊娠初期にビタミンAを多く摂り過ぎないよう注意してください。不足時にビタミンAとなるβ-カロテンに関しては上限量の基準はありません。
ビタミンC |
---|
アセロラ、赤パプリカ、菜の花、ブロッコリー |
※熱に弱いため、加熱調理時に多く失われがちな栄養素です。
ビタミンE |
---|
あんこう、にじます、あゆ、モロヘイヤ、パプリカ、アーモンド |
※ビタミンEと魚類(DHA)を一緒に摂ることで、抗酸化作用がアップするとも言われています。
抗酸化作用を意識するなら一緒にとるべき栄養素
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEのもつ抗酸化作用や多く含む食品についても紹介しましたが、忘れてはいけないのがたんぱく質の摂取です。
たんぱく質は肌を作る原料の中でも多くの割合を占めています。たんぱく質が適度に摂取され、肌の基礎が保たれていることで、抗酸化作用に関わるビタミンが活躍することができます。健やかな肌を目指すには1食あたり肉または魚を50~60g、加えて1日卵1個と乳製品をコップ1杯位とることを目安にしてみてくださいね。
まとめ
肌のシミやシワに関わる活性酸素や、抗酸化作用を持つビタミンA、ビタミンC、ビタミンEについては理解できましたか? 肌のトラブルや年齢による変化を意識したときには抗酸化作用のある栄養素の摂取が大切です。紫外線の影響や気になる肌の悩みに合わせて、外側方だけでなく、内側からも栄養をたっぷり摂って、次の季節に備えてみてくださいね。
また、日焼け対策を意識して、紫外線対策をばっちり行っている方は、ビタミンDが不足している可能性も考えられます。美容や免疫に関わるいビタミンDについて知ってよりよい美容対策をしていってくださいね。
免疫にかかわるビタミンD「基本機能・効果・食材」
監修:管理栄養士 岡部 遥
参考文献
(※1)素肌美人になれる正しいスキンケア事典 吉木信子、岡部美代治、小田真規子
(※2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット(情報提供)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
管理栄養士。NR・サプリメントアドバイザー。栄養教諭一種免許状取得。特別養護老人ホーム勤務後、「栄養」によって幅広い世代の生活を支えたいと思い、ドリコスに参画。食べることが大好き。乳製品が好きでよくヨーグルトを食べている。