玄米ダイエットなど、家庭でも簡単に取り入れられるダイエットが人気を得ていますが、その健康効果、正しく理解していますか?  実は玄米は生活習慣病を予防する上でもおすすめの食品として、厚生労働省でも推奨される食品です。※1 
 そんな玄米は何がすごいのか! 玄米食べ続けて5年目の栄養士が栄養価の違いについて紹介していきます!

 

 

玄米に含まれる栄養素

 玄米に含まれる栄養素は多くありますが、特に白米と比べると、ビタミンB1は8倍。ビタミンB6は10倍。カリウムは約3倍。マグネシウムは7倍、不溶性食物繊維は2倍多く含まれています。今回注目した栄養素7つの主な健康効果はこちらです。

養素名 働き・健康効果
ビタミンB1 【働き】
 ・炭水化物をエネルギーに変える
肌や粘膜の健康を維持する
【健康効果】
 ①脳や筋肉に必要なエネルギーを作り出す
 ②肌のアンチエイジング
ビタミンB6 【働き】
 ・脂質をエネルギーに変える肌や粘膜の健康を維持する

【健康効果】
 ・肌のアンチエイジング
葉酸 【働き】
 ・体内で酸素を運ぶ赤血球の材料となる
 ・タンパク質をつくのに欠かせないDNAの材料となる
【健康効果】
 ・貧血対策
カリウム 【働き】
 ・ナトリウムと一緒に体内水分のバランスを保つ
【健康効果】
 ・むくみ対策
マグネシウム 【働き】
 ・体内で欠かせないホルモンや酵素の生成
【健康効果】
 ・筋肉を動かすのに欠かせない
【働き】
 ・体内で酸素を運ぶ赤血球の材料となる
 ・肝臓で体内の有害物質を解毒する際に必要なホルモン「̪シトクロム」の材料となる
【健康効果】
 ・貧血対策
 ・肝機能対策
食物繊維 【働き】
 ・排便を促し、小腸の健康を維持する
【健康効果】
 ・便秘改善、排便を促すことによるデトックス(解毒)作用

※2 食品成分データベース 文部科学省

 

気を付けたい食べ合わせ

 栄養豊富な玄米ですが、食べ合わせる際は気を付けたい点もあります。

 それが玄米に含まれるフィチン酸です。まだ多くの研究がされているわけでは有りませんが、国立研研究開発法人 医療基盤 健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」内の報告では、玄米に含まれるフィチン酸にはミネラルの中でも鉄の吸収阻害作用があると紹介されています。※3

▶フィチン酸とは
 フィチン酸とは、抗酸化作用持つ成分で、食用の油などが酸化するのを防ぐ際にも使われます。フィチン酸は酸性の性質を持つため、ミネラルと結合しやすい性質を持っていますが、すでに玄米内のミネラルと結合しているため、他の食事のミネラル成分や体内のミネラルまで吸収阻害作用を与える点については、そこまで大きな心配はないのではないかと言われています。

 一方で、正確な吸収阻害やその具合までの研究結果は確認できなかったため、玄米食の際は、ミネラルが不足していないか、まずは自分の食生活を見直てみましょう。※3

 

 

玄米と白米の違いは?

 玄米が白米に比べて栄養価が高い理由は、収穫してから食卓にのぼるまでの工程にあります。 
 白米は図のように、収穫してから「もみ殻」と呼ばれるお米一粒一粒を覆っている殻をとり、白米の部分である「胚乳(はいにゅう)」を覆った、「糠層(ぬかそう)」や「胚芽(はいが)」を取り除く精米作業がされています。方で、玄米はもみ殻を取っただけのお米の状態をさします。

玄米はなぜ健康に良いのか?

 玄米にはビタミンやミネラル、食物繊維が白米に比べて多く含まれていて、その多くは糠や胚芽に多く含まれています。本当に玄米は健康に良いのか、その違いが顕著に分かるのが「脚気(かっけ)」と呼ばれる症状です。


▶脚気(かっけ)とは
 脚気はビタミンB1が不足することが原因で起きる症状で、末梢神経障害から手足のしびれや心不全などの深刻なものから、普段の生活の中でも全身の倦怠感や、食欲不振、むくみなどの症状が現れます。

 昔、江戸時代に入りそれまで玄米ばかりを食べていた江戸の町人にも白米食が流行ったことによって、脚気が流行しました。江戸から離れ、玄米食に戻ると回復するため「江戸煩い(えどわずらい)」とも言われたようです。
昔はおかずも漬物や具のない味噌汁などが多かっため、栄養補給の多くは主食である米から摂っていました。それが玄米から白米に変化したことによって、ビタミン不足に陥ったと言われています。※1

 

玄米食と合わせて揃えたいおすすめ食品

 「健康効果があるから玄米にしよう!」と言っても、人によっては、玄米の固さや、糠独特の風味が苦手な方も多くいます。(筆者は玄米の味に抵抗はありませんが、たまに食べる白米はかなり美味しく感じることも) 

 試した結果「やっぱり苦手」という方には、玄米と同じ効果を得ることができる他の食品・食材をおすすめします。玄米の中でも食べやすく加工したロウカット玄米や酵素玄米、玄米以外では、精製度の低い穀類や、小麦、野菜・いも類でも同じような働きを期待することができます。

「発芽玄米・酵素玄米・ロウカット玄米」の違いは?値段と健康効果をまとめて紹介!


 今回は、玄米を主食に置き換えるように、主食向きな、精製度の低い穀類をまとめました。 

米類 半つき米
七分つき米
胚芽精米(有色米(黒米・赤米・緑米)
小麦類 全粒粉を使ったパン
大麦(押し麦・もち麦・はだか麦・丸麦)
ライ麦 (全粒・精白粉)
その他 そば粉
粟(あわ)
きび
オートミール

※4 生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する 食事の普及に係る実施の手引

 

▶筆者のおすすめ

Kellogg’s「オールブラン ブランリッチ」 
価格:300円前後(1袋) 

 Kellogg’s(ケロッグ)から販売されている「オールブラン ブランリッチ」はシリアルが棒状で食感はかなり固めです。甘味料などの添加物もほとんど含まれておらず、ナイアシンや鉄などのミネラル、ビタミンB群の中でもビタミンB1、ビタミンB2が別途添加されています。 牛乳やヨーグルトなどに入れる以外に、サラダの飾りつけとして入れるのもおすすめです。筆者は腸活中のおやつとして食べ始めからはまり、そのまま常備するようになりました!

発酵食品にデメリットはあるのか?腸活を始める前に知りたい本当のこと。

 

 

もっと玄米で栄養を摂るには?

 玄米にはもともと栄養が豊富と言われていますが、最近は栄養価はそのままにさらに食べやすくなった「ロウカット玄米」や「酵素玄米」なども流行しています。

 なかでも「発芽玄米」は玄米をそのまま食べるよりも栄養価が高く、また食べやすさもUPすると言われています。自分の食習慣に合わせた玄米食を見つけるためにも一度味の違いを試してみるのもおすすめですよ!

「発芽玄米・酵素玄米・ロウカット玄米」の違いは?値段と健康効果をまとめて紹介!

 

 

最後に

 白米と比べると多くの栄養素を持つ玄米。一方で、ぬか漬けなどの元となる糠層などが残っていることから独特な風味が苦手と言う方も多くいます。そこで玄米を普段食べない白米派とパン派の社員に協力していただき、玄米食生活をしていただきました!

 玄米が気になるけど、どんな食事と合うのか?気になっている方はぜひチェックしてみてくださいね! 白米大好きな営業Rさんは玄米と白米を〇:〇で食べてみたところ、毎日食べやすく玄米食続けられたそうですよ!

管理栄養士実践!玄米ダイエット2週間の成果とデメリットまとめ

 


監修: 岡部遥
管理栄養士。NRサプリメントアドバイザー。 栄養教諭一種免許状取得。特別養護老人ホーム勤務後、ドリコス株式会社でオーダーメイドサプリメント抽出のアルゴリズム制作、栄養情報の配信を担当。

 

参考文献

※1 農林水産省 「脚気の発生」https://www.maff.go.jp/j/meiji150/eiyo/01.html

※2 食品成分データベース 文部科学省 https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

※3 国立研研究開発法人 医療基盤 健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/indiv.html

※4 生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する 食事の普及に係る実施の手引 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000096860.pdf

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