基礎化粧品などのテレビCMや広告などで「コエンザイムQ10」という言葉をよく聞きませんか?またコエンザイムQ10の中でも「還元型」を大きく強調しているイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。コエンザイムQ10という名前だけで、美容に良さそうなイメージが先行していますが、もともとはどんな成分なのか、 どんな時に摂取すれば良いのか、 食品では何に含まれているのか、などなど、今回はその疑問を調べてまとめてみました。

 コエンザイムQ10が足りているか、不足しているのかチェックしたい方は、20種近くの栄養素を反映できる、栄養天気予報がおすすめです。

コエンザイムQ10とは?

 コエンザイムQ10は脂溶性のビタミン様物質で、体内でも合成されますが、年齢を重ねるにつれて合成されにくくなる栄養素と言われています。コエンザイムQ10は不足すると肌の老化や免疫力の低下、疲れやすい、肩こり、冷え性などの症状が現れるとも言われています。(※1)

 
コエンザイムQ10は「酸化型」と「還元型」の2種類があります。体内では主に「還元型」として存在するため、「還元型コエンザイムQ10」が市販商品にも多く含有されいます。



コエンザイムQ10の機能

 コエンザイムQ10はエネルギーの産生のサポートし、不足すると効率的にエネルギーを産生することができなくなることから、疲労を感じやすくなります。美容のイメージが強い方も多いかもしれませんが、疲労感を感じた時に摂取することもおすすめです。

 また、コエンザイムQ10はストレス対策としての働きも担っています。エネルギーを産生した時に一緒に出る活性酸素は過剰となると身体にストレスを与えます。活性酸素は加齢、紫外線、たばこ等の影響で身体的にストレスを感じた増えると言われています。(※2) 活性酸素は身体の細胞を攻撃するとも言われており、コエンザイムQ10を摂取することで活性酸素から細胞を守りやすいと言われています。

活性酸素と疲労の関係、運動後の疲労を取り除くには何を食べるとよいかはこちらで紹介しています!

運動後の疲労の原因は活性酸素!減らすための栄養素はこれだ!

 

食べ物で摂るには

 コエンザイムQ10は、イワシなどの青魚や肉類、卵、野菜ではブロッコリー等に多く含まれています。
 しかし、近年はイワシの漁獲量が激減し、それに伴って鶏のエサとして使われていたイワシを加工した魚粉も価格が高騰したため、鶏卵などに含まれるコエンザイムQ10 量は30 年前の約 1/3 にまで減少したと言われています。

 青魚にはコエンザイムQ10以外にも、身体では作ることのできない必須脂肪酸のオメガ3系脂肪酸なども豊富に含まれています。現代人は魚を摂ることが少なくりつつあると言われていますが、健康を意識して1週間に数回、献立にイワシなどの青魚を加えてみませんか? 

過剰摂取には要注意

 (財)日本健康・栄養食品協会が紹介しているデータでは、コエンザイムQ10は、1日摂取目安量として300mgまで安全であるという報告がされています。そのため、1日摂取量の上限値は300mg以下が望ましいといえます。
 コエンザイムQ10は、別名「ユビキノン」「ユビデカレノン」とよばれる脂溶性のビタミン様物質であり、体内でも合成されるため、食事からの摂取量に上限値が設定されています。

 日本では、医薬品分野において、ユビデカレノン(※)として日本薬局方に収載され、医薬品としては、「基礎治療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状」の効能・効果で、1日30mgの用量で承認されています。(※4)コエンザイムQ10のサプリメントを摂取する場合はサプリメントへの含有量も良く確認してくださいね。

(※)ユビデカレノン…医学的な説明では、ミトコンドリアの電子伝達系におけるコハク酸脱水素酵素の補酵素(補酵素Q10)である。薬として心疾患時の低下を補うことにより、虚血下の酸素利用効率の改善や低下したATP合成能の改善が示唆されています。(※5)医療用医薬品のため、服薬にはかかりつけ医の方と相談してください。

 

まとめ

 まとめると、コエンザイムQ10は「年齢を重ねると合成されにくなり、疲れた時やストレスを感じた時に摂取すると良い」ことが分かりました。 そしてなにより、 普段のエネルギー産生にも欠かせないため、男性、女性問わずに積極的に摂りたい栄養素です。まずは、今晩のおかずを青魚にしてみませんか?

 普段の疲れが気になる方、よりいきいきと過ごしたい方はこちらの記事へ! 高齢者でない方も、今からゆっくりできる転倒リスクに備える体操も紹介しています。家族や自分の健康を大切にしたい時、おうち時間の簡単な運動としても試してみませんか?

家にいるからこそ気を付けたい、高齢者の転倒事故に今から備える方法

 

監修:管理栄養士 岡部 遥

参考文献
(※1)サプリメント健康事典 一般社団法人日本サプリメント協会
(※2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット(情報提供)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html

(※3) 日本家政学会誌 Vol. 63 No. 4 205 ~ 207(2012)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/63/4/63_205/_pdf

(※4) 厚生労働省医薬食品局食品安全部 コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会
への食品健康影響評価の依頼について https://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/08/h0822-1.html

 

3+