美容を意識する人なら一度は気にしたことがあるビタミンC。肌や細胞の抗酸化作用が期待できると言われ、サプリメントだけでなく、化粧水などにも添加されているのを最近はよく見かけます。
一方、編集部はそんなビタミンCが豊富な食材を摂ると、逆にシミがでやすくなるという口コミを最近多く見かけました。
「シミ対策をしてくれるのに、シミができやすいってどういうこと!?」
そんな疑問を解決すべく、今回は根拠となる論文を調査、その原因をまとめました。最近シミができやすくなったと感じている方は要チェックです!
ビタミンCとは
ビタミンCとは水に溶けやすく、熱にも弱い水溶性のビタミンの1つです。果物や野菜に多く含まれ、完全食と言われる卵に唯一足りないビタミンとも言われています。
身体の中に留めておくことができず、こまめに摂取して補いたいビタミンです。一方で、過剰摂取の心配がほとんどなく、厚生労働省でも過剰摂取を防ぐための耐容上限量なども設定されていないビタミンです。
ビタミンCの働き
ビタミンCは身体の中で、さまざまな用途に使われます。例として5つの働きをまとめました。
・抗酸化作用 |
身体の中では細胞を酸化させる活性酸素が働くのを抑える「抗酸化作用」が期待できます。
▶コラーゲンの生成 |
コラーゲンはタンパク質の一種で、身体を作っているタンパク質の1/3はコラーゲンとも言われています。この、コラーゲンを作るためにはタンパク質とビタミンCが不可欠です。 コラーゲンは水分やカルシウムを皮膚や骨に定着させます。また、細胞同士をノリのようにつなぐ役割もするためイキイキとした生活には欠かせません。
▶ホルモンの生成 |
美容には大敵なストレスに対抗する「抗ストレスホルモン」を作るのにも、ビタミンCは大量に使用されます。特に喫煙や受動喫煙のリスクが高い方は、ビタミンCが大量に使われることが分かっています。
▶鉄の吸収率をあげる |
女性の場合、月経期には血液が失われ、貧血症状などがでやすくなります。貧血症状が気になる人は鉄分を多く意識して摂る方も多いのですが、元々肉類以外に含まれる鉄分は吸収率が悪いため、ビタミンCなどで吸収率をあげたいミネラルです。
▶シミ生成の機会を減らす |
シミはメラニンという色素が皮膚に沈着することでできます。ビタミンCはメラニンを生成する酵素の働きを邪魔するため、シミを防ぐ効果が期待できます。
ビタミンCの摂り過ぎがシミになる!?
さまざまな効果が期待できるビタミンCですが、最近よく耳にするの噂があります。それは…
「ビタミンCを含んだ果物を朝に摂ると、シミが増えやすくなる。」
というもの。シミ生成を抑えることが期待できるのに、なぜシミが増えるのか。その理由はビタミンC以外の成分にありました。
シミが増える原因はビタミンCではなく「ソラレン」
結論からいうと、ビタミンCの働きで説明した通り、ビタミンC単体ではシミを増やすことはありません。原因には「ソラレン」という光毒性物質が多く含まれている食品を、紫外線を浴びる時間帯に摂っていることが上げられます。※1
「ソラレン」とは? なぜシミを増やすの?
ソラレンはフロクマリンと呼ばれる物質の一種で、シミの原因となる紫外線が皮膚で吸収(感受性)されるのを促すと言われています。ソラレンを摂取してから紫外線を浴びると、紫外線を吸収しやすくなり、肌の炎症がおきて、肌に赤みがでたりシミが出来やすくなると言われています。※1
2015年にアメリカで行われた100,000人を超える対象者の食事傾向を調べた調査では、グレープフルーツや、オレンジジュースを頻繁に摂取した場合、メラノーマ(皮膚がんの一種)のリスクが増加する可能性があるという報告がされています。※2 こちらの報告では、柑橘類の果物や、ジュースを週に2回未満しか摂取していない人と比べて、1日に1.6回以上摂取する人は36%ほどリスクが上がっていとまとめられています。※2
食事からのビタミンC摂取はどうすればいい?
柑橘類にはソラレンのデメリットを補うほど、ビタミンCや、ポリフェノールなどの色素成分も豊富に含まれています。私生活で極端に摂取を控えるのはむしろ栄養の偏りに繋がるかもしれません。
ソラレンによる紫外線の影響が気になる方は、夜に摂ることをおすすめします。ソラレンは摂取してから2~3時間で紫外線吸収がピークを迎えると言われています。朝や昼は多く含む食材は避けてみるのがおすすめかもしれません。※2
一方で、ソラレンを含む食品と、皮膚がん以外のガンとの関係は今のところ見られないと報告されています。どうしてみ気になるという方は、ビタミンC単体ではソラレンの影響はないため、サプリメントやビタミンCが添加された補助食品を摂ることをおすすめします。
ソラレンが豊富な食材とは?
ソラレンが豊富に含まれる食材は多く、柑橘類ではレモン、グレープフルーツ、オレンジ。その他にはキウイなども含まれていると言われています。また、パセリやセロリなどの多くの野菜に多く含まれており、普段の食事からは避けられない成分でもあります。※2
ただ、ソラレンを避けて栄養不足になっては、もともこうもありません。気になる方は、特に多い柑橘類などは夜に摂り、紫外線が気になる方は、屋外で紫外線対策をされるのがおすすめです。
まとめ
ビタミンCは身体に欠かすことのできないビタミンです。さらにイキイキとした肌へのサポートもするため、美容意識の高い方の中では、敏感になっているような情報がみられます。
一方で、ヒトの健康面では紫外線は皮膚でビタミンDを生成するのに欠かせません。摂り過ぎには気を付けたいソラレンですが、多くの野菜や果物に含まれ、生活の中では切っても切れない成分です。
ソラレンを多く含む柑橘類は、摂る時間を変えてみるなどして、基本はバランスのよい食生活を意識されてみてくださいね。
監修:管理栄養士 NR・サプリメントアドバイザー 岡部 遥
参考文献:
※1 Gary Schwartz,「柑橘類とメラノーマのリスク増加との関連性」米国臨床腫瘍学会(ASCO)10,July,2015, (原文サイト)https://www.asco.org/about-asco/press-center/news-releases/citrus-fruit-consumption-may-be-associated-increased-melanoma
※2 柑橘類の消費と皮膚悪性黒色腫のリスク Shaowei Wu、Jiali Han、Diane Feskanich、Eunyoung Cho、Meir J. Stampfer、Walter C. Willett、およびAbrar A. Qureshi Journal of Clinical Oncology誌 2015年 33:23,
玄米と和食が好きな栄養士。2019年にドリコスへ参画。阪急やそごう・西武などの大手百貨店でオーダーメイドサプリメントサーバー販売会を実施。食生活のアドバイスも交えた接客を約300名以上に行う。生活の中でふとした時に湧いてくる疑問について投稿していきます。